【ポスト・コロナ時代に向けた宿泊施設の取り組み6】パーソナルスペースの変化 観光品質認証協会統括理事・サクラクオリティマネジメント代表取締役 北村剛史

  • 2020年6月6日

 人は従来、他者との間で社会的に望ましい距離やスペースに関する感覚(「パーソナルスペース」という)を持っているといわれ、コミュニケーション相手の表情が読み取れる距離感などから会話ができる距離感などまで、距離感に関するさまざまな概念が提唱されています。宿泊施設に関するコミュニケーションのありようは、顧客に伝えたい情報やサービスに応じてさまざまです。

 ここで一つ、スタッフの表情に関する調査結果をご紹介します(全国男女200人に対するインターネットアンケート調査、弊社実施)。

 フロント、帳場などのスタッフに「笑顔」が見られる場合、「非常に高い安心感」を感じる人と「高い安心感」を感じると回答した人は合計で51%、さらに「やや安心感」を感じる人まで加えますと合計96.5%でした。また「笑顔」が伴う「あいさつ」が見られる場合では「活気がある」と感じる人で68.5%、「やや活気がある」と感じる人まで含めますと合計96.5%という結果でした。

 このように宿泊施設におけるコミュニケーションのありようは会話だけではなくさまざまであり、例えばロビーなどにおけるスタッフと顧客との関係を考えますと、上記調査結果から判断すればスタッフの表情が読み取れる距離が望ましいと考えられます(望ましい距離はおおむね90~120センチと考えられる)。

 一方で新型コロナウイルス感染症対策の一つとして他者との濃厚接触を避けるか2メートル以上の距離を確保するなど「ソーシャルディスタンス」の意識が、今後のコミュニケーションのありように影響を与える可能性があります。今回、ロビーでの会話、フロントでの会話、レストランでの会話を想定しスタッフと顧客との望ましい距離感に関する調査を行いました(全国男女200人に対するインターネットアンケート調査、2020年4月、弊社実施)。

 調査の結果、ロビーでは120センチ以上離れた距離が望ましいとの回答が約60.5%、平均値で約146センチでした。フロントでは120センチ以上離れた距離が望ましいとの回答が約65.5%、平均値で約151センチ、レストランでは120センチ以上離れた距離が望ましいとの回答が約57%、平均値で約147センチという結果でした。世界的規模で猛威を振るう感染症の恐怖を反映してか、コミュニケーションの距離感などが大きく広がっている様子がうかがえます。

 このほか、会話以外のコミュニケーションのありように関する調査結果(同上調査による)をご紹介しますと、宿泊施設における支払い料金(現金、カードなど)のやり取りでは、手渡しではなくトレイを使用してほしいとの回答が45.5%であり手渡しは22.5%という結果でした(それ以外はどちらでもないとの回答)。またルームサービスでは、客室に当然には入らず必ず入室前に入ってよいかの確認をしてほしいとの回答が61.5%という結果でした。以上のように、今回のパンデミックは、日常のパーソナルスペースに影響を与えた可能性があり、今後は安心感を支える顧客との距離感などを改めて意識する必要があるのかもしれません。

 
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