【地方再生・創生論 222】「人生100年時代」をアピールすべきだ 松浪健四郎

  • 2021年7月23日

松浪氏

 近年、週刊誌は売れないらしい。そこで特徴ある編集、特集に走る。私は3種類に分類される傾向にあると感じている。まず、昔ながらのスキャンダルを報じる出版社の2誌。「砲」が付くくらい刺激的で、政界もゆるがす。次に大学入試の特集を中心に据える大新聞社が発行する2誌で、60万人の受験生をターゲットにする。いわば受験雑誌に近い印象を受ける。

 そして、「終活」を専門に報じる2誌。これも大手出版社が発行する雑誌だ。毎週の新聞広告でおおよその内容を知ることができるが、長寿社会を象徴している。テレビのCMまで葬儀会社が登場する時代、「終活」が商売になる社会に私たちは生きているのだ。誰も予想しなかった社会を、少子高齢化が急速に作ってしまった。近代化が高等教育を盛んにしたばかりか、晩婚化を招来させ少子化が定着した。「生めよ増やせよ」の世から、想像できない平和の世となり、「終活」の世を迎えることとなった。

 活字文化が低迷中、新聞の読者が減るに加え本も売れない。スマホが私たちの習慣を破壊したにとどまらず、文化も粉々にしてくれた。人々は、おしなべてスマホ中毒患者、あらゆる情報を入手することができる。味気ない感じもするが、IT、AIの時代に生きる者の宿命だと決めつけるしかない。

 企業も役所も学校も、長寿社会に応えるべく定年延長が常識化しつつある。待遇に区別があろうとも、60歳、65歳、いや70歳だって元気だ。大学の定年も各大学によって制度は異なるが、大学院の非常勤講師は「余人をもって代えがたい」ためか、年齢制限を廃止している大学も数多くある。ともかく医療の発達と健康に対する意識向上は、元気な老人を増加させた。

 私の知人たちの多くは、定年後、さまざまなボランティアを楽しむ。通信講座で植木職人の知識を入手したりして余生を楽しむ。行動力のある人はよしとして、何もしないと痴呆症に襲われる。健康の維持増進にも悪影響を与える。老後は人生の企画力が勝負という感じもするが、東京都が面白い本を作成していた。

 「東京50アップブック」といい、「これからの夢とライフを考える本」と副題にある。50歳以上のみなさまへ、と記して無料配布。208ページもある冊子だが、主にイラストで肩がこらない編集。五つの役立ちポイントとして、(1)ボランティア、趣味、社会貢献等(2)健康管理、元気生活のヒント(3)将来の困りごとサポート(4)すぐ役立つお助け情報(5)ライフ・プランニング等を教えてくれる。

 10年後、20年後には、己の人生や生活がどうなるのだろうか、今のうちから考えるべきだと説いてくれる本だ。面白いのは、各個人の個性によって、仕事、趣味、学び、社会貢献のありようを教えてくれる点である。具体性に富み、優れたガイドブックになっている。さすが東京都と思わされるが、「人生100年時代」、私たちは発想の転換を迫られていることに気づかねばならない。

 いや、各自治体は、高齢者に対して「人生100年時代」をアピールし、発想の転換を呼び掛ける必要がある。私は、東京都の小冊子は、そのための動機付けを推進させるための本だと思った。高齢者たちは、相当に頭の柔軟性を喪失させているため、50歳くらいから発想の転換をさせようと東京都は考えている。ある意味では、痴呆症防止策でもあろうが、「人生100年時代」をアピールすべきだ。

 この東京都の取り組みに各自治体は追随すべきである。小冊子の刊行、市報、町報等、あらゆる媒介を用いて長寿時代を楽しく生きる準備を呼び掛けてほしい。50、60歳代からスタートを切れば、かなり有意義な人生を楽しむことができるに違いない。「終活」が社会を支配しつつある現状に、各自治体は立ち向かうべきである。自治体は、「婚活」に取り組み、少子化を食い止め、「終活」を追放してもらいたい。古代ペルシャのゾロアスター教(拝火教)は、結婚を義務化させて民族、部族の強化を狙ったことを教訓としたいものだ。

 
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