【地方再生・創生論 206】教育委員会がするべきこと 日体大理事長 松浪健四郎

  • 2021年3月25日

松浪氏

 私立高校の教員を募集すると、どの教科も多くの応募者がある。公立、私立を問わず、専任の教員を雇用すれば人件費支出が増大するため、多くを非常勤講師として雇う。その間、指導力や人間性等をチェック。もし専任の欠員が生じた場合、非常勤講師を昇格させて教諭として採用する。

 私立中高校では、新卒の教員をいきなり専任として雇用する例は少ない。まず、非常勤講師として吟味するのは一般的。ただルールは、4年間講師をすれば専任教員にしなければならないことになっているため、ほぼ3年間の様子を見て解任するのも一般的。少子化の波は、私立学校を直撃していて専任教員の座も一筋縄ではたどり着かない。

 公立中高教員の採用も新卒者は少ない。たいていは非常勤講師の経験者で、きちんと教員としての評価を得た者が採用されている。公私立を問わず、一度、正式に採用してしまうと、どうしようもない人間性の教員ですらクビにできないからだ。小学校や幼稚園の教諭は、比較的新卒者が多いのは、女性が多いからであろう。それでもモンスター・ペアレンツの影響でか、退職者も少なくない。

 女子高の非常勤講師を採用、名門大学の卒業生で名門高校の専任教諭の経験があった。奥さんの両親が病弱で面倒を見なければならないので退職、看護をしていたいという。いい先生であった。それで数年後に専任の教員に昇格させたが、しばらくして問題が起こった。

 数年前、名門高校の教員時代に売春問題で逮捕され、クビになっていたのである。名字も奥さんのものへと転じていて、採用時に誰も気付かなかったが、生徒間の中でウワサとなる。調査を進めるとウワサはホンモノ、高校はクビにした。が、裁判で和解、高校側が金を払わねばならなかった。

 公私立を問わず、免職教員を公表しておれば、上記のような失敗はなかったに違いない。懲戒免職などで教員免許を失効した者について、教員免許法で官報に氏名の掲載が義務付けられている。ところが、不掲載があったりして前述のような問題が全国で起こっている。特にわいせつ事案が多いとされているのは、教育委員会の不名誉もあろうが、免職教員の第2の人生を配慮してのことであろうか。

 2013年、沖縄県で悲劇が起こった。教育委員会が官報に名前を掲載せず、懲戒免職になりながら教員は普通に生活をしていたが、その教員からわいせつ行為を受けた生徒は1年後に自殺した。わいせつ案件で教職を追われ、教員免許を失効させる男性教員は全国的に増加傾向にある。各教育委員会が、教員免許法を順守すれば、その数を減少させることができるかもしれない。

 犯罪学者や心理学者たちは、わいせつ行為や窃盗行為は病的で再犯の恐れがあり、新たな被害者を生む可能性が高いという。

 過去の処分歴を隠すことを許してはならない教員という職業。処分の際、教育委員会は人権問題を考慮しつつ再犯の心配がないように対応せねばならない。

 読売新聞は、「わいせつ行為で懲戒免職となった教員が官報に掲載されないことは、免職歴を確認できる文科省のシステム『官報情報検索ツール』の根底を揺るがす大きな問題だ」と書く。各教育委員会が、官報への不掲載で済まし、わいせつ事案を葬る現状に怒りをにじませる。で、文科省は検索ツールを大幅に拡充させるという。免職歴を5年から、なんと40年間にする。被害者を増やすことのないよう文科省も本腰を入れる。

 わいせつ行為を受けた女子生徒の心のキズは、深くて大きい。本人が他の教師や両親に告白しない限り露呈せず、事案化しない。生徒の弱さを見透かすひきょうな犯罪行為、かかる教員が再び不祥事を起こすことのないよう教育委員会が対処せねばならない。犯罪行為が表面化、事案化しても誰も責任を取らない現実は、生徒たちを犠牲にしていることに気付くべきだ。

 
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