今回は、テレビなどで話題沸騰中の大人気店について。まずは、関東1都3県で、130店舗以上を展開するディスカウントスーパー「オーケー」。公益財団法人日本生産性本部の顧客満足度調査で、調査対象となった2011年から直近の2020年まで、10年連続でスーパーマーケット部門の第1位に輝いている。
同社のモットーは「高品質・Everyday Low Price」。特売期間を設けず、通年低価格で販売する価格戦略を取っているのだ。2001年には特売チラシを廃止、広告宣伝費の削減に成功した。またこの戦略は、特売期間中に利幅の小さい特売品ばかり売れてしまい、粗利が下がるのを防げるというメリットもある。
さらに、地域最安値を目指しており、同一地域の店が特売を行うと、それに合わせて「競合店対抗値下げ」を行う。家電量販店でよく目にする「万一、他店より高い商品がございましたら、お知らせください。値下げします」というポスターを掲げており、自らも競合店の売価を調査しているそうだ。たとえ競合店の価格が特売品や目玉品だったとしても、オーケーの価格の方が高かった場合は、「競合店に対抗して値下げしました」というPOPをつけて、値下げ販売している。
低価格を維持するため、同社ではさまざまな工夫をしている。例えば、ショッピングカートはコイン式。使う際に100円を入れ、定位置に戻すと返ってくる仕組みだ。顧客が必ずカートを元の位置に戻してくれるから、店員の作業が減り、人件費削減につながる。
また、各商品1メーカーに絞り、品目数を減らして1品目を大量に仕入れることで、仕入れコストを抑えている。筆者がいつも使っている、シェア業界1位のメーカーのしょうゆが全く見当たらず、2位のメーカーの商品しか置いていなかったのは、そういうワケだったのだと合点がいく。
安かろう悪かろうではなく、品質にもこだわっており、取り扱う商品は原則として着色料不使用の物。ベーコン・ハム・ソーセージ類も、発色剤を使用しない「無塩せき」だ。オリジナル商品も高品質で、通常のPBと異なり、大手メーカー品を特注仕様で大量仕入れしている。カルビー別注のオリジナルポテトチップスは、お得なだけでなくパッケージデザインもイケていて、筆者も思わずパケ買いしてしまった。
もう一つ特筆すべきは、「オネスト(正直)カード」。「長雨の影響で、レタスの品質が普段に比べ悪く、値段も高騰しています。暫(しばら)くの間、他の商品で代替されることをお薦めします」などと書かれたカードが陳列棚に掲げられているのには驚く。オーケーに来てくれるお客さまに損はさせないという徹底ぶりが、顧客満足度を上げているのだ。だから、現金払いだと3%引きになるオーケークラブの会員数は、593万人を突破しているという。
続いては、テレビで特集が組まれるほど超人気の「業スー」こと「業務スーパー」。人気のヒミツは次号で!
※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。