【体験型観光が日本を変える302】GWのサービスの在り方は 藤澤安良


 4月は統一地方選の月である。知事や市町村長、あるいは地方議員や国会議員の補欠選挙などが行われた。その最中に、候補者の応援演説のために和歌山市を訪れた岸田首相に向かって爆弾が投げられた。

 幸い、51秒後の爆発であったため首相も聴衆にも被害が及ばなかった。昨年7月、候補者の応援のために奈良市を訪れていた安倍元首相が銃撃に遭い死亡した事件をほうふつさせる出来事であった。

 5月のG7サミット広島開催に先駆けて、各地で関係閣僚会議が始まり、広島のほか15カ所での会議が予定されている。模倣犯や愉快犯が現れないよう、それらのさらなる警備体制の強化も求められることになる。

 アフリカのスーダンでは内戦が勃発し、日本人を含む外国人の国外脱出が始まった。また、過日はJアラートが鳴り、北朝鮮が発射したミサイルが北海道に着弾する可能性を全テレビが報道した。幸い、陸地でもEEZ(排他的経済水域)の内側でもなく事なきを得た。しかし、Jアラートがオオカミ少年状態になる懸念も出ている。精度の向上を期待したい。

 平和と事件のないことがどれだけ大切なことか再確認する。平和だからこそ旅行や外出ができる。その機会が多いゴールデンウイーク(GW)が始まる。児童生徒などの子ども連れはカレンダー通りであり、後半に集中しそうである。一般的な勤め人は2日の休暇を取れば最大9連休となる。

 国内の航空機、JR新幹線や特急列車、宿泊施設の予約状況は好調でコロナ前に近づいている。一方で、海外旅行は航空機の発着数が戻っておらず、コロナ対策の制限措置が残っており、ビザ取得免除がなかったり、全てが元通りではなく、航空券の残席もある。海外に行ききれない状況が続いている。

 それは同時に国内定着の好機でもある。残念ながら、GWは交通渋滞が予想される。連続した休暇がGWしか取れず、この機会にしか旅行できない人の弱みに付け込んでGWの宿泊料金が高額になる。平日誘導へのバランスを考えて多少の差は容認できるが、料理も客室も特段のグレードアップもなくカレンダーだけで極端に高くなる場合が多い。お客は納得してはおらず、仕方ないと思っている。

 カレンダーに甘えず販売価格を納得に導く高付加価値サービスを研究すべきである。多客期をもうけの材料とせず、しっかりしたサービス提供をし、満足してもらう期間としなければならない。

 走り回る旅行では気づき発見できないものも多い。ゆっくりと滞在し、四季の移ろいを感じ、土地の人々と交流し、旅先で「暮らすように過ごす」企画が潜在的ニーズとしてある。新しい旅の提案として、IJUターンの移住定住先のお試し滞在や、田舎暮らしでついのすみかを探す旅も必要である。

 それらは、お客の志向が明らかになってから動きだすのではなく、地域振興や旅行業界の発展のためにも、受け入れ地方や旅行会社からの新しい旅の提案が必要である。とりわけ地域の魅力を熟知している地方の積極的な行動力が地域を活性化させることになる。

 
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