【体験型観光が日本を変える250】魂や志を高める人材育てよ 藤澤安良


 ロシア軍のウクライナ侵攻はとどまるところを知らず、ウクライナ各地への爆撃が繰り返され、アパートや病院、マーケットや食糧庫など、生活インフラにまで及び、死傷者も増え続け過酷な状況に追い込まれている。

 西側諸国は軍事物資や経済制裁などでウクライナを援助しようと動いているが、停戦に向かう道筋は見えない。多くの人の命と財産がこれだけ失われても、独裁者のエゴや意地を抑えられない。

 権力の集中は時に人を狂わせるのである。反戦デモだけで拘束されるロシアでは容易ではないが、国民の真っ当な判断と行動を期待したい。われわれに何かできないだろうかと考える日々である。

 3月11日で東日本大震災から11年がたった。自動車道路や高波堤防やまち並み移転は進んできたが、人口減少、産業振興、雇用等には課題も山積している。まだ、帰還困難地域は存在しており、福島原発の放射能汚染の問題も容易ではない。解決には政策と時間が必要になる。

 岸田文雄首相は12日、「Go Toトラベル」の再開に向けての準備を進めると言及した。前回の偏りや不備を是正し、有効に機能する制度になることを期待したい。旅行とはいえないものの、私は仕事柄、全国各地に出向いている。

 「まん延防止」などが出ていない地域では徐々にではあるが少人数での会食も始まった。

 地方の居酒屋では人材不足も相まってか、適性などと言っていられないのであろう。はきはきも、笑顔も料理に対する知識もない20歳ぐらいの女性から料理を受け取った。味は良くても、話の弾みや場の雰囲気が悪くなる。某空港のラウンジの受付で小声で接客用語すらはっきり伝わらず表情のない女性に出会った。そういう姿を見ると搭乗した航空機のCAまで気になってしまう。

 接客接遇の所作やマナーは日本の大手はそれなりにしっかりしている。しかし、魂なのか気持ちの乗りようなのか作り笑顔の奥なのか、何かが物足りない。接客サービス業はコミュニケーション能力でもある。専門知識は当然ながら常識も一般知識も世情も必要になる。

 しかし、「そんなの関係ない」などと世の中の事象が他人事と思えば言葉にできるほど身につくはずもない。もちろん個人差は大きいが、先進国の中で仕事に対するやる気が最低の国が日本である。バブル期以降正規社員を減らし、マニュアル化し教育研修機会を減らし、人に対する投資を怠ったツケであると思う。

 高度経済成長期には企業戦士や会社人間などとやゆされながらも頑張った人々の財産を、働き方改革をしながらもメリハリをつけて、電気、情報通信、ワクチン分野等他国に取られた日本の経済をどう立て直すのかの課題に直面している。

 魂や志を高める人材育成こそが必要であり、仕事に対する備えと自信と誇りを持ち、コミュニケーション能力が高い人材が求められることになる。現場での体験教育プログラムこそがその役割を担えるものである。コロナ後の変革を期待する。

 
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