【体験型観光が日本を変える 96】農園観光の見せ方に工夫を 体験教育企画社長 藤澤安良

  • 2018年11月7日

 10月後半の半月で、国内外で地球半周を超える2.4万キロを移動した。

 オフ期といわれているハワイのオアフ島とハワイ島を訪ねた。私は成田空港が開業する前の43年前から10回以上ハワイを訪れているが、様変わりとは言わないがホテルが多くなり、相変わらずの日本人に人気のデスティネーションである。

 ハワイ島は火山爆発が沈静化し、キラウエア火山火口が見える距離まで行けるようになっている。前日の午後に申し込みをして走行距離は東京から名古屋を超える約400キロの島1周ツアーに参加することにした。何日前とか言わないところがさすがのリゾートである。観光スポット間の距離が長いが、コナコーヒー農園、パン屋、チョコレートやクッキーの店などが観光地の合間に入っており、飽きない工夫がある。

 火山の火口は5年前と比べ大きくなっていた。雄大な景色には変わりない。ドライバー兼ガイドは現地に数十年住んでいる日本人で、自然、民族、農産物など、運転中の車窓案内はもちろん、散策コースも同行し、写真のシャッターマンとしても積極的で、多岐にわたっての説明は分かりやすく、よく勉強していると思った。

 植物学的な話や日本との比較などは当方からアドバイスすることとなったが、その場でノートに書きとめるなど努力の片鱗(へんりん)が見て取れた。帰りには町のスーパーマーケットに寄るなど、客のニーズをよく捉えている。ツアーはホテルのドア・ツー・ドアで約11時間、バイキングランチ付きで110ドルは高くない。参加者の満足度は高い。

 山や海は当然ながら、やたらに目に付くのがコーヒー、バナナ、アボカド、マンゴー、パパイア、マカデミアナッツ、ライチ、レモン、パイナップルなどとても豊富なフルーツである。日本では見られないコーヒー以外の農園も立ち寄り、旬の新鮮なフルーツが食べられて、植物検疫などの制限はあるものの、加工品も含めて購入できたり、生産工程が理解できたり、苦労話が生産者から直に聞けたりと、興味が尽きない。

 日本でもサクランボなどのフルーツ狩りの企画はあるものの、短時間の滞在で、農業を深く理解するようにはなっていない。知的欲求を満たすにも体験交流型の農園観光・フルーツ観光は大きな可能性を持っている。また、前述のパンやクッキー、チョコレートも工場見学ではなくほぼ個人経営のような規模でも、見学解説、試飲試食、製造直売、トイレ、喫煙所、駐車場・休憩用ベンチがあれば観光的に成立している。

 短時間の立ち寄りコースから、半日以上の体験などをプログラムとして提案することもできる。日本人にとっては温暖地のフルーツは珍しい。外国人や都市住民にとっては、日本の果物の生産現場も珍しいはずである。米のない国ならば田植えも稲刈りも興味があるに違いない。畑の作物も、獣害に悩んでいることも全てが体験型観光資源素材になる。つまりは、知恵と工夫で田舎は観光の宝の山となる。

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