【体験型観光が日本を変える 93】訪日外国人を田舎に 体験教育企画社長 藤澤安良


 10月1日、本庶佑・京都大特別教授がノーベル医学・生理学賞を受賞した。多い死亡原因のがん免疫治療薬の発見とあって、喜ばしい限りである。沖縄の知事選に続いて、国政では第4次安倍改造内閣が発足した。時がたてば忘れ去られるものもあるが、曖昧にせずすっきりした形で、いずれも民意を反映した政治が行われることを望みたい。

 訪日外国人の観光スポットとして人気の東京・築地市場が惜しまれながら83年の歴史に幕を下ろし、豊洲に移転することになった。環境の安全性の問題で2年も伸びた。なぜそうなったのか、誰の責任で多大なる公的資金が無駄になったのか、本当に安全なのか、すっきりしないままの移転開業となった感は否めない。データ的で心情的な安心までたどり着く努力が求められている。

 のど元過ぎれば熱さ忘れる。人の噂も75日。時がたてばほとぼりが冷める的なことで回避すべきではない。根本原因の除去がなければ過ちが繰り返されることになる。なかったことにしてはならない。失敗も困難も全ては体験をして学びの基となる。

 台風24号に続いて25号と、9月から10月初めにかけて、相次いで大型で強い台風が日本に上陸または接近し、交通機関はまひ。各地に甚大な被害をもたらした。24号が東京に接近する9月30日は20時以降は都心の交通機関が計画運休するというニュースから、岩手県にいた私たちのグループは東京着の時刻を繰り上げる必要に迫られ、1時間半近く予定を前倒しし東京に着くことにした。

 また、大丈夫だと思って九州に行ったが、25号の接近が速く、結局欠航となり、次の日の最終便まで帰って来られなかった。天災故に誰に当たっても仕方がない。ただ人が困っている時には、温かくやさしく親切な対応はありがたい。いざという時の対応の差がサービス業のレベルの差となる。

 前述の岩手県は三陸海岸の田野畑村と普代村に六つの国と地域からの学生を案内した。震災被災地訪問と農林漁家へのホームステイに加えて国際交流が主な目的である。参加者の全てが田舎暮らしも岩手県も初めてというから驚きである。同時にこれからの可能性に期待が膨らむ。

 東日本大震災大津波ガイドツアーは被災者の体験談であり、2時間半にわたって現地を訪ねたが、全員がとても熱心に聞き、いろいろな質問も出るなど関心の高さがよく分かった。断崖の北山崎は海から観光船で、上からは展望台からと両方からダイナミックな景観を満喫した。

 伝統の海水からの塩づくり体験や農家・漁家にホームステイをして仕事と食文化と生活を体験し、国際交流を図る2泊3日の日程を終えた。参加者は見るもの、食べるもの、体験する内容、出会った人々全てが初めてであり、日本の田舎の良さも課題も確認できたと思う。双方が勉強になる機会である。次代に向けて、日本人観光客も訪日外国人も田舎への動きを加速、拡大させたいものである。

 
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