【体験型観光が日本を変える 84】旅が人をつくる 体験教育企画社長 藤澤安良

  • 2018年8月8日

 夏休みに入り猛暑が続く中、成田発のLCC直行便を利用し、わずか4・5時間のフィリピンのリゾート地セブ島に向かった。機内は、テレビも、映画も、音楽も視聴できない。機内食はドリンクも有料となる。手荷物制限も厳格で、機内預けの荷物も有料である。シートのピッチも国内線より狭いが、すべては安くて短距離なら利用価値が高いと判断する人が多いこともうなずける。

 目的地は日本より気温も湿度も低く、スコールはあるものの、晴れが続き、海岸は海風がさわやかで過ごしやすいリゾートである。機内はダイビング目的であろう人々と、家族での夏休み旅行とでほぼ満席である。われわれも家族6人で出かけたため、手ごろな距離感で、旅行費用がハワイの半額程度となり、魅力の目的地であろう。

 セブのマクタン島の空港到着後はタクシーで約30分のホテルに向かう。タクシーは交渉で金額が決まるケースが多い。メーターと言いながら車内でメーターを動かさず「いくらでどうか」と言ってくる。ホテルやタクシーターミナルで言ってくる金額はメーターより高い。金額面で折り合いが守られるようなシステムになることが観光先進地への道となる。

 セブ島では韓国の若者が目立ち、フィリピンに限らず世界の観光地では日本の若者は少ない。日本国内でも同様の傾向が続く、マリンスポーツの地域は別として、日本は中高年が旅する国である。貧困とは言わないまでも若者の懐事情が良くないことが容易に見て取れる。グローバルな感覚が求められ、世界にその見聞を広めなければならない時に、その機会をつくれないことは心配である。

 さらには、中高年の英語力が高いとは言わないが、若者の英語力が低い。アジア諸国では英語はもちろん日本語を学ぼうと米国や日本に留学する。日本からの留学生は低下傾向にあると聞く。島国日本に閉じこもっていても世界は見えてこない。情報がほとんどない150年前の幕末に坂本龍馬や勝海舟が世界に目を見開いたように、世界の現実を知り、マーケットを理解することが、ビジネスチャンスを得ることになる。

 しかし、それ以前に日本の真実すら知らない人が多い。日本の田舎や地方を訪れた経験もなく、食料生産現場を知らず、テーマパークや渋谷、原宿、秋葉原で消費を重ねるだけで、生きる糧となる食材もつくれない。情報ビジネスをやろうとしても、根本の商材をつくる人がいなければ成立せず、広く社会を理解することにはならない。

 日本の未来を担い、守ってくれるであろう若者が、少なくとも国内には四季折々に4回と、海外に2回程度の旅ができる国にしなければならない。働き方改革が真の改革になるのなら、若者の所得が上がり、年休取得が健全に行われ、福利厚生が充実し、社会的に旅が奨励される国にならなければ、その価値はない。伸びない日本人渡航者数、伸び続ける訪日外国人。「旅」が人づくりであり、国づくりである。

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