【体験型観光が日本を変える 64】農山漁村で学ぶ 藤澤安良

  • 2018年3月7日

 平昌オリンピックは日本にとって、冬季五輪での過去最高のメダル獲得数となるなど、目覚ましい活躍が日本人の心を打った。なかでも銅メダルを獲得した女子カーリング選手の笑顔が絶えず、チームで声を掛け合い、さわやかで粘り強い戦いぶりは日本人として誇りに思うと同時に組織やチームのあり方を示してくれたようにも思える。いささか、きな臭い政治利用があったようには見えたが、平和の祭典に違わない、良いムードで閉会式を迎えた。

 東京五輪まで2年数カ月となった。会場や運営の準備、選手強化は大丈夫なのか。訪日外国人の目標は2020年に4千万人としているが、東京、大阪、京都は今でも宿泊施設が足りない日がある。2年後は明らかに足りない日が出てくる。だからと言って6月に施行される民泊新法のアパート、マンションの空き部屋貸しの拡大は懸念が少なくない。過日もそのような部屋から、女性の遺体の一部が見つかったとの報道もあり、犯罪やテロの拠点に使われかねない。運用の中で法を守らない者の取り締まりや、法の不備が問題にならねばいいがと思う。

 われわれが全国各地で取り組んでいる在宅型の体験交流を目的とした農山漁村生活体験民泊(農水省の農泊、渚泊)では問題はほとんどなく、受け側と体験者側が互いに交流、コミュニケーションを通じて心を高めている。訪日外国人の教育旅行の受け入れも増え続けている。個人旅行にも対応できるよう簡易宿所や旅館業の営業許可を取得するなどの準備を進めている。

 しかし、相手が誰であろうと、自然体験や田舎体験、田舎料理と共同調理などを通じた交流、コミュニケーションを重視し、日本の文化を深く理解する機会としなければ、地方の価値がない。上げ膳据え膳、至れり尽くせりのサービスは旅館・ホテルに任せておけばよい。食材は自家製や地元産が良い。ありのままの暮らしや営みの中に真実があり、学びがあり、感動が生まれる。田舎でもインスタント食品や出来合いの総菜を買う人も少なくない。都市にどんどん近づいている。野菜の煮物、和え物、酢の物、具だくさんの味噌汁を作って来た人が今ならおり、次の時代につなぐことができるはずである。地方の準備も急がねばならない。

 東京五輪でも今回のような好成績を上げ、日本を盛り上げてほしいものである。選手の活躍は同年代の若者は当然ながら、子どもたちにも、夢と希望を与えることになり、青少年の健全育成に大きな影響を与えることになる。女子スピードスケートの金メダリスト小平奈緒選手も、長野五輪での男子スピードスケートの清水宏保選手の活躍がきっかけとなったと述べている。人は人から影響を受けて、元気と勇気とやる気をもらって成長していくものである。影響を受けるのは家族や友人、学校の先生だけではない。農山漁村生活体験で接する地域の人たちからの学びが人生に大きくプラスになっている。日本の学校が体験交流を求めている所以でもある。

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