【体験型観光が日本を変える 190】コロナ後の誘客戦略を 体験体験教育企画社長 藤澤安良


 新型コロナウイルスの感染が拡大しており、第3波が来ているとの見方が出ている。「Go Toトラベルキャンペーン」も批判の対象になっているが、町ゆく人の中には、マスクをしていない人もいたり、いわゆる顎マスクや鼻を出している人も少なくない。予防対策の質の向上が求められることになる。

 航空機や新幹線、あるいは高速バスや貸し切りバスなどの換気を数分間で行える運輸機関でのクラスターはあまり聞かない。飲食店やカラオケ店、医療機関や老人介護などの福祉施設が多い。つまりは、旅行や出張、外出が悪いのではなく、3密を避けての感染防止対策を強化し、経済活動を推進しなければならない。

 Go Toのおかげで息を吹き返した施設も少なくない。しかし、Go Toはいつまでもあるものでもなく、後にその反動が来るかもしれない中で、次なる誘客戦略を考え、行動を起こすのは地域であり、旅館・ホテルや観光関連の各施設でもある。

 国家プロジェクトで多額のお金と力が働いてのキャンペーン故に大きな動きとなった。1施設では限界があることからも、今後は広域での地域連携が求められることになる。

 全国各地に設立されたDMOも、補助金の消化試合のような事業のための事業に追われたり、地域経済効果を生まない名ばかりの組織も多い。今こそ、コロナ後を見据えて本領を発揮すべき時が来ている。期待も役割も大きい。 

 ワクチンやPCRや抗原検査態勢が充実すれば、Go Toがなくなっても戻ってくれるであろうと期待しつつも、旅行は行き先や形態など内容の変革が求められており、次のステージに向かう時が来ている。旅行会社の募集ツアーも、観光地巡り、食べ放題、お土産付きなどは、食欲・物欲を満たす次元の客層であり、薄利の価格競争になる。著名観光地や神社仏閣、名所旧跡は個人旅行に任せればいい。

 さらには、著名温泉地や観光地、あるいは都市部のホテルなどの宿泊施設に関しては、情報が散乱しており、旅行会社の社員の知識や裁量は不要で、ほぼネット予約になる。残念ながらこの分野も価格比較サイトが存在するなどネット間の価格競争になっている。

 今後の旅は、交通手段が限られ、個人では容易に行けないところ、本当の秘境や知られていない絶景ビューポイント、ドライブインなどでは食べられない地産地消の郷土料理、わざわざ行かないと聞けない話や会えない人など、旅行者が関心を抱く特別な旅を企画すべきである。

 教育旅行もSDGsと新学習指導要領「主体的・対話的で深い学び」の導入と共に、いつでも行けるところではなく、修学旅行でしか行けないような特別な場所や特別な体験が求められることになる。つまりは、その時代に生きた証となるような企画を提案すべき時が来ている。

 一般旅行は来年に向けて、教育旅行は21年度は予約通りの実施に努力し、その後はいずれも、付加価値の創造であり、価格競争からの脱却であり、旅行会社の商品改革と収益構造改革とが求められている。旅行会社の生き残る道となる。

 
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