【体験型観光が日本を変える 180】安倍総理の退陣に思う 体験体験教育企画社長 藤澤安良


 病気の再発により、史上最長の7年8カ月に及んだ安倍政権が終わることになった。看板の外交では、北朝鮮の拉致問題、隣国・韓国との慰安婦問題、貿易大国・中国との尖閣問題、ロシアとの北方領土返還の全てが解決できないままでの退陣は残念であったに違いない。政治の成果は誰が得したかではなく、国民の暮らしである。

 国内でも2回の消費税アップと相次いだ自然災害、新型コロナウイルスへの対応であり、それらによる経済の低迷など、決して豊かになったとは言い難い状況である。また、いろいろな総理にまつわる問題はその説明に納得していない多くの国民がいる。それらが世論調査の支持率低下の要因でもある。

 課題や問題が山積している今日、こんな時故に、次なる総理には結局誰がやっても同じだなどと、国民に諦めさせることのない、クリーンで分かりやすく、国民目線での積極的な政治姿勢を貫いてほしいものである。

 コロナ禍では宇宙船に数多くの隕石(いんせき)が飛んでくるかのごとく、未知との遭遇であり、瞬時に正確な判断が必要である。かじを切りすぎては次なる隕石に当たる。課題の間をうまくすり抜ける柔軟な現場対応能力が必要で、無理やごまかしが効かない難しいかじ取りが要求される。

 全国各地で野菜や果物、あるいは魚介類や国産ブランド肉などが売れずに在庫が余ったり、畑で腐らせたり、生産意欲を削がれる事態が続いている。国民は等しくほぼ毎日3食は変わらないが、昨年約3200万人訪れたインバウンドについてみると、全くない平均滞在の7日間、3食で1人当たり20食、つまりは6億4千万食が消えたことになる。金額の推計では1兆円を超えることになる。

 自然災害での農林水産業被害額は積算されるが、コロナ禍での農産物や海産物が売れていない。その産業に対する補償も政策の検討材料になるはずである。「Go Toトラベル」キャンペーンも、同じ人が何度も利用してもいいことから、すでに500万件に迫っている。何をやっても目ざとく動く人と待ちの人とは大きな差になる。

 宿泊施設も同じである。制度を有効に活用し、コロナ対策もしっかりと徹底し、社員教育もできているところにお客が多い。客の立場で検査や質問事項や感染防止対策ができていないと、他のお客に陽性者が紛れていないだろうかと不信感を持つことになる。

 お客に不便や面倒をかけまいとして遠慮するあまり感染防止対策が甘くなっている施設も少なくない。双方が気持ちよく旅ができるように、感染防止対策を徹底することが大変であっても観光産業の持続と発展につながる。日本の食料生産現場にまで大きな影響を与えてきたインバウンドにも再開されても同様の対策をできるように準備をしておく必要がある。

 安倍総理退陣の会見で抗原検査を含む検査人数の拡大政策が掲げられたが、さらに、いつでも誰でもどこでも必要な人に無料か安価に検査ができるならば、Go Toトラベルも活発になり観光産業が大きく動き、経済復興は加速するはずである。

 
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