台風19号の大雨洪水により、52河川の73カ所が決壊するなど被害は全国20都県におよび、土砂崩れ、家屋の倒壊や浸水、停電、断水で死者80人、行方不明者11人を出すなど甚大な被害が出た。
治水の役割を持つダムでまたもや洪水に拍車をかけるような放流を行ったことが明らかになっている。天気予報や台風の経路が予報され、何度も大型で猛烈な勢力などと報じられていた。事前放流は可能であり、やるべきであった。
22日に予定されていた天皇即位のパレードも来月に延期されるなど、天災といえやり場のない悲しみに包まれている。このような災害が続いているのに、お悔やみやお見舞いなど後処理に終始している。防災対策は機能せず、被害が拡大している。判断基準を現代に合ったものにしなければならない。
また、異常気象や大災害の要因とされている地球温暖化の問題をないがしろにし、その対応に政治的な動きは鈍い。
過日の国連での16歳の少女の訴えが政治家に届く時は来るのか。目先の課題のみならず、未来を見据えて行動することが求められている。災害は悲しみばかりである。
観光にも大きな痛手となる。道路が開通しても風評被害の払しょくは容易ではない。迅速で正確な情報を伝える必要がある。義援金もボランティア活動もあるが、観光で現地を訪れ、宿泊、飲食、買い物といった消費行動が地域経済と受け入れ地域を元気にすることにつながる。観光の役割は大きい。1日も早い復旧・復興が待たれる。
明るい話題もある。ラグビーワールドカップ(W杯)で日本は予選リーグ4戦全勝で待望のベスト8に残り、決勝トーナメントで戦うという快挙を成し遂げた。台風直後の横浜国際総合競技場に7万人近くが詰めかけ歓喜の渦が沸いた。残念ながらベスト4には至らなかったが、日本で開催した意義がとても大きいものとなった。8カ月後に迫った東京オリンピック・パラリンピック開催にも期待が膨らむ。
しかし、マラソンの開催地を巡って、突如、札幌開催案が浮上した。過日のドーハの陸上世界選手権では、日本選手では競歩の2人は金メダルという快挙を成し遂げたが、マラソンは惨敗であった。暑さの課題は日本人に限ったことではないが、体調不良で途中棄権者が続出しないためにも、条件は考慮すべきだが、夏の東京が暑いことは以前から分かっていたはずである。
ミストや散水車で水をまくなど工夫はあるし、当日が雨かもしれない。オリンピックのチケットが手に入らなかった者にとっては、都心の沿道で見られるのではないかと期待していたのだが。どんな結末になるのか、当日の結果も含めて注目したい。
スポーツは応援する側までも夢中になり、感動させてくれる。一時でも悲しみを忘れ感動を共有したいものである。体験交流にはスポーツアクティビティも多く、自然、農林漁業や伝統工芸など多様な分野に広がるが、大きい目的は、傍観者ではなく主人公として感動し心を高めることである。