【体験型観光が日本を変える 133】日本の田舎の食事は世界一 体験教育企画社長 藤澤安良


 海外旅行はお盆を過ぎると子ども連れが増える。多人数で行くには旅費がお盆より安いからでもある。格安航空会社(LCC)を使えばさらに安くなる。私もその頃、LCCを利用し孫子6人で渡航した。成田からバンコクへ約6時間30分のフライトである。

 航空運賃は1時間で行く羽田空港から大阪空港までの割引運賃に相当する金額である。つまりは、新幹線で東京から大阪までの運賃料金に匹敵することになる。かなりの割安感がある。機内は日本発なのに半数近くが外国人である。訪日外国人が多いはずである。

 到着したタイのバンコクドンムアン空港はLCCの機材の方が多いようにも思えた。バンコク市内は46年前に初めて訪れてから何度となく訪れているが、どんどん近代化され、高層ビルが立ち並び、世界中の都市の景色と変わらない。衣類や食費などの物価も日本に近づいている。タクシーは5分の1程度と安い。

 ホテルは中庭に大きなプールがある五つ星ホテルの3ベッドルームで72平方メートルのコンドミニアムが1泊当たり2万4千円というから、こちらのコスパもよい。同程度のホテルが日本の大都市であったら十倍以上すると思われる。日本はホテル代が高いとの良くない評判もある。

 食事場所はショッピングセンターに個別にテナントとして入っていたり、フードコートにいくつもの店が出店したりと日本のイメージとほぼ同じである。さらに、その中に日本のチェーン店がとても多い。

 誰もが知っている牛丼屋、いわゆるごはん屋、日本で有名な中華の店など日本名の店が軒を連ねている。

 この傾向はバンコクに限ったことではなく世界中に展開されつつある。日本食がおいしくて人気があるのだから当然であろう。ご飯も魚も肉も日本に近づいてきてはいるが、同じ店の名前でもやっぱり日本の方が格段においしい。

 そして、その有名チェーン店よりさらにおいしいのが鮮度が勝る食料生産現場の田舎である。

 つまりは、世界でもっともおいしい食は日本の田舎である。故に、世界無形文化遺産である。日本人観光客は言うに及ばず、訪日外国人誘致は和食と体験交流に他ならない。そこに日本や地方独自の、豊かな自然、伝統の祭りや行事、歴史文化が加われば鬼に金棒である。

 新たなる創造は体験交流であり、その体験プログラムとインストラクターの養成が必要になる。それは、投資に見合う経済効果が生まれない、道路舗装や拡幅、あるいはほとんど使われないホールの建設などと違って、多額の投資を必要とせず、確実な需要につながる道を開くことになる。時代劇のロケ、ウオーキング、ランニング、セラピーロードなど道路は土の道に価値がある時代となった。

 自然を生かし、農林漁業と食をつなげて生かすことは、田舎の価値を高めることに他ならない。2020年の後は日本中の田舎にスポットが当たるチャンスである。学校教育、企業組織研修、訪日外国人等に体験と交流を通じて人を高める教育の場となる。チャンスを生かす準備が必要である。

 
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