【体験型観光が日本を変える 101】コミュニケーション能力の大事さ 体験教育企画社長 藤澤安良


 勤務前の検査で規定以上のアルコール分が検出されたとして、パイロットが禁固刑を受けた。罪状が明らかになると、ことの重大さを思い知らされたに違いない。同様の事件も度々起こっている。他の業態での企業の不祥事も相次いでいる。働き方改革が叫ばれて久しいが、それ以前のコンプライアンスが問題となっている。さらには、仕事ができなかったり、やる気がなかったり、仕事力が落ちている。

 労働力不足を盾に政府が外国人就労者を拡大しようとしている。国会で出入国管理及び難民認定法(入管法)等の改正案の審議が始まり、わずか2週間後の11月27日に衆院を通過した。そんな中、妊娠した技能実習生が中絶か強制帰国を迫られるという劣悪な労働条件、人権侵害も明らかになってきた。多くの課題が山積みとなる中、十分な議論と不備のない法律が作られることを望むばかりである。

 その一方、わが国の完全失業者は163万人に達し、引きこもりも54万人にもなるという報道があった。労働力がありながらマッチしなかったり、労力に計算できない残念な状況がある。日本の潜在的労働力を生かせる方法も考えなくてはならない。多くの要因はコミュニケーション不足からなる人間関係構築能力不足である。机上学問一辺倒で人間を評価する基準が間違っている。

 人とうまくやっていく能力が組織運営では肝になる。それは、いかに多くの人間と交流しコミュニケーションをしたかによるところが大きい。放課後、校庭やグラウンドで遊ばなくなればその機会はほとんどない。それ故に学校教育現場での体験活動がいかに大切かということになる。
 修学旅行で物見遊山の観光地巡りやテーマパークなどへ行っている場合ではないことは明らかである。また、性格形成が6歳までに完成するという幼児教育においても、親が十分に関われず、保育園や幼稚園もまだまだ待機組があるなど、根本の教育がおろそかになり、応急処置的に外国人に頼るのもいいが、日本人はどうなるのか、店頭販売業やサービス業の分野では、笑顔で一生懸命働く外国人にとって代わられそうな勢いである。

 もう一つは、職場での教育研修機会が十分でないし、やり方が間違っている。研修室や会議室で講師の話を一方的に聞いてもほとんど身に付かない。学歴はあっても、キーボードは叩けても、体験値や遊びが少なく、自然との関わりが少なく、人との交流も少なく、人間関係構築能力不足は否めない今日の、企業組織にとって、人間力を養う人材育成であり社員教育の場でもある。

 体験交流を通じて地域の発展に貢献することは、故郷や田舎を思う心、祖父母や親への思慕敬愛の念を再確認することになる。日本人のなくしてはならないアイデンティティーである。農林水産業をはじめとする地域産業や知恵や技を持つ高齢者が活躍する体験交流型の教育が日本を変えることになる。

 
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