18年間のサラリーマン時代を経て、2011年9月、リッツＭＣ株式会社を起業しました。これまでの自分の経験を生かし、社会貢献できる事業は何かと考えた時、「人材＋広告＋ＩＴ」の融合が真っ先に頭に浮かびました。起業した年は東日本大震災直後で医療従事者の不足が報道されていたこともあり、医療介護専門の人材採用支援サービスを始めることにしました。看護師や薬剤師から歯科衛生士、ケアマネジャー、ヘルパーなどの求人を取り扱い、少しずつ会社は成長していきました。
しかし、14年に当社にとって大きな転換期が訪れます。当社を訪れた1人の友人が「今、バス業界が大変なことになっている。中嶋さんならどうにかできるのではないか」と言うのです。詳しく聞いてみると、バス事業者が運転手を採用できず困っているとのこと。なぜ私なのかと聞くと「人材ビジネス×バス業界経験者の掛け合わせとなると中嶋さんしかいない」と言います。言われてみると「確かに自分のキャリアを生かせそうだ」と思い、早速、バス業界の求人がどうなっているのか、事業者はどのような採用活動をしていて、求職者はどう就職活動をしているのか、などリサーチしました。結論は「この業界の求人は正常な状態にない」というものでした。これは大仕事になる。二束のわらじはとても無理と覚悟を決め、私は医療介護業界からバス業界の採用支援に事業を転換することを決意。「国内唯一！バス業界に特化した人材採用支援サービス」と銘打ってゼロから新事業をスタートしました。
人が仕事を探す時、業界、職種、エリア、雇用条件などで絞り込み、採用試験を受け、入社するというのがスタンダードです。また、現在の求人というのは、専門職に関しては専門媒体での検索が主流です。しかし、当時はバス運転手専門の求人媒体がありませんでした。そこで14年7月、バス運転手専門の求人サイト「バスドライバーｎａｖｉ（どらなび）」をオープンしました。このサイトの誕生で、バス運転手になりたい人はこのサイトを見ればバス会社の求人を比較検討でき、バス事業者はどの媒体に求人を掲載すべきか悩まずに済みます。このサイトを軌道に乗せることこそ、バス業界を救う手段であると考えたのです。
（リッツＭＣ代表取締役社長兼女性バス運転手協会代表理事）
