バス運転手不足の今日、注目されているのが「連節バス」です。連節バスは、大量輸送のために車体が2連以上につながっているバスのことで、国内でもまだ珍しいバスです。現在は、京成バス、神奈川中央交通、岐阜乗合自動車、ジェイアールバス関東、神姫バス、新潟交通、近江鉄道、西鉄バス、南海バス、奈良交通の10社(敬称略、順不同)で運行されています。2連結の全長は約18メートル、乗車人数は180名程まで可能となります。
混雑する通勤通学ラッシュ時の主要駅と住宅街を結ぶ路線や、大学のキャンパスと最寄り駅のピストンなど、乗降客数の多い場所で活躍しますが、車線数、道路の幅、バスターミナルの形状などによっては運行難易度が上がるため、内輪差や安全面を考慮し、広くて整備の行き届いた場所で運行されています。
バス会社への就職を検討している運転手とお話ししていると、バス事業者を選ぶ理由の一つとして「連節バスを運転したいから」とおっしゃる方もいます。連節バスの運転には、けん引免許など特別な免許は不要で、一般のバスと同じ大型二種免許所持者であれば運転が可能ですが、もちろん特殊車両ですので、選ばれるのはベテラン運転手が多く、厳しい実車研修で高度なテクニックを身に付けた上での実車となります。今後、新たに、三重交通(敬称略)などでも導入予定で、バス運転手志願者の選択肢は広がっていくものと思われます。
多くのお客さまを乗せることができる連節バスは、都心機能の分散化や道路渋滞解消など、街づくりにも貢献する存在です。重要な交通インフラとして、地域に貢献することができ、バス運転手にとっては大きなやりがいにつながるでしょう。
私も何度か乗らせていただきましたが、カーブを曲がる際の連節部の乗り心地は他では感じたことのない感覚です。まだ乗ったことのない方は、ぜひ、乗客として一度乗ってみてください。
(リッツMC代表取締役社長兼女性バス運転手協会代表理事)