【交通トレンド分析84】AIRDO、初就航便のB 767が最終飛行 航空・旅行アナリスト 鳥海高太朗


 1998年12月20日のAIRDOの就航初便就航以来、22年間AIRDO便として飛び続けたボーイング767―300ER型機のAIRDO初号機(JA98AD)が、1月20日に新千歳発羽田行きのAIRDO20便でラストフライトを迎えた。286席仕様の初号機は、初フライト以降ラストフライト前日の1月19日現在で総飛行時間6万119時間35分、総着陸回数4万8270回、総飛行距離4400万キロ、地球を約1079周に相当する飛行実績となった。

 初号機は、ANAやJALなどでも使われる機体だが、アジア路線にも就航可能な国際線にも対応した機体だ。98年就航時に選定された理由として、会社設立時の会社名が「北海道国際航空」だったことにもある。エア・ドゥという名前と併用して使われていたと私は記憶している。というのも会社設立当時は将来的に北海道からの国際線定期便への就航を想定し、北海道からアジアへノンストップで飛行可能な機体として選ばれたのであった。

 過去に新千歳、女満別、釧路、帯広から台湾への国際線チャーター便を運航した実績はあったが、22年を経過した現在も国際線定期便の就航は実現しなかった。北海道の翼「AIRDO」として会社設立時には社員136人でスタートしたが、22年が経過した現在では総従業員数は1千人を超えるまでに成長。北海道内の就航地も新千歳、旭川、函館、女満別、帯広、釧路の6空港となり(6空港全て羽田路線有り)、道民の翼としての地位を確立した。

 AIRDO機では、以前はANAで飛行していた機体を中古で購入していたことも多いが、ラストフライトを迎えたAIRDO初号機は導入時にはリース機であったが(現在は自社保有機)、最初から最後までAIRDO一筋の機体だった。ラストフライトの機内では、客室乗務員が初代制服の「サロペット」を着用して乗務し、搭乗時には就航当時の航空券をモチーフにした「搭乗証明書」を配布するなど、特別なものとなった。首都圏は緊急事態宣言中で、通常のラストフライトにあるような大きなセレモニーなどはなかったがラストフライトを楽しむ航空ファンの姿も見られ、中には羽田空港↓新千歳空港↓羽田空港とラスト2便を堪能した人もいた。前日まで大雪だった新千歳空港もラストフライトに合わせて青空に。最後の北海道での勇姿を目に焼き付けた人も多かっただろう。新型コロナウイルスによる影響も続く中で、良い時代も厳しい時代も含めて22年にわたって飛び続けたAIRDOの歴史を見続けた初号機は羽田空港でその役目を終えた。

 (航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)

 
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