9月19日から22日までの秋のシルバーウイーク。9月10日の東京都モニタリング会議で小池百合子知事が東京23区内の飲食店における22時までの自粛営業を15日までで終了することに加えて、東京都外への移動自粛も実質解除することを発表し、さらに11日に10月1日から「Go Toトラベル」の東京都発着の除外解除方針が明らかになったことで、夏の最後の旅行として直前になって4連休中の旅行予約が相次いだ。
私は4連休初日となる9月19日の朝7時前に出発客の様子を取材するために羽田空港に向かったが、空港ターミナル直結の駐車場に久しぶりに「満車」の表示が出ていたことに驚いた。それ以上にANAが発着する第2ターミナルのチェックインカウンターへ向かうと、人、人、人という感じで、新型コロナウイルス感染者が拡大する前のいつもの連休中の光景が目の前に広がり、正直タイムスリップしたような気分になった。
ANAによると、連休初日の国内線予約数は8.7万人となっており、今年2月28日以来の水準で、4月の緊急事態宣言が発令した後、最も予約数が多かったそうだ。JALについても8万人を超える予約があったとのことで、羽田空港第1ターミナル、第2ターミナルともに多くの人でにぎわった。連休初日だけでなく翌日20日も午前中を中心に同様の傾向で、特に北海道や沖縄などへの便に満席便が多く、19日の羽田発のANA国内線の利用率は97.2%という高水準となった。
ANA国内線全体では74.8%となっていることを考えると、この4連休については首都圏から地方への移動が特に目立ったが、地方から首都圏への移動においてはまだまだ旅行に慎重な動きが見られたほか、高齢者の移動は少なく、若者や家族連れなどが羽田空港でも多く見られた。
利用率は上がっているとはいえ、現状、国内線を運航する航空各社では4割程度の減便が続いていることから、半分程度の利用者数にとどまっている。ゴールデンウイーク期間中が95%減、お盆期間中が70%減、そして今回の秋のシルバーウイークが約半分と回復傾向にあるが、まだまだ厳しいことには変わりがなく、今年は10月のスポーツの日(今年から体育の日から改名)が当初東京オリンピックの開会式が開催される予定だった7月24日に移動したこともあり、11月までは祝日はない。
秋の紅葉シーズンに国内旅行が増えることを期待する声が多い中で、感染者数が減少することを願うばかりだ。
(航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)