
ANAの今年の目玉が総2階建て飛行機エアバスA380型機の就航。5月24日より成田―ホノルル線に週3往復で投入され、7月からは2機体制となることで週10往復がA380での運航となる。
私は記念すべき5月24日の初便に搭乗する機会に恵まれ、成田からホノルルへ向かった。総座席数は520席で、ファーストクラス。ビジネスクラス、プレミアムエコノミー、エコノミークラスの4クラス制に加えて、エコノミークラスの後方には足下のレッグレストを上げることで完全に横になることができるカウチシートを導入するなど、お客さまにとっては豊富なキャビンタイプの中から選べるようになっている。初便は満席だったこともあり、成田空港の搭乗ゲート前では搭乗の際に長い列ができていた。
1度の便で500人以上を運ぶというのはもの凄いインパクトである。エコノミークラスでホノルルまで向かったが、従来機以上に足下が広く感じるだけでなく、シートテレビがエコノミークラスでは世界最大規模の大きさとなる13.3インチ(最前列は11.6インチ)となっていることで、機内では窮屈さを感じることがないフライトとなった。リゾートへ遊びに行くにあたり、機内の快適度が高いと往路便では到着後すぐに動くことができ、帰国便では翌日に疲れを残しにくくなる。実際に利用して感じたことであった。
今回のA380の就航によって、ハワイ側も大きなビジネスチャンスとなり、特に宿泊施設においてはさらなる稼働率を上げるチャンスとなる。現地の受け入れという部分では、飛行機でしか行くことができない離島リゾートでは、便数と共に飛行機の大きさ次第で取り巻く環境が大きく変わる。
JALは2011年に経営破綻する前から大型機であるボーイング747や777の路線を中型機のボーイング767型機、ボーイング767の路線を小型機のボーイング737にするなど小型化(ダウンサイジング)を進めた。結果、特に沖縄においては送客できる人数が減るだけでなく、修学旅行などにおいて一つの便で全員が運べないなどという問題が発生したことで、修学旅行自体の目的地を変更せざるを得ないケースもあった。ただ、航空会社側にとっては空席になってしまうリスクを考えれば確実に席を埋める席数の機体で飛ばすという考えも納得できる。
今回のANAがハワイ線に導入したA380はエコノミークラスだけでも383席あり、7月以降は週10往復体制となり、さらに提供座席数が増えることから閑散期を中心に修学旅行など教育旅行で利用しても面白いと思う。今後のハワイに注目だ。
(航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)