【交通トレンド分析48】成田空港、コロナで初のB滑走路閉鎖 航空・旅行アナリスト 鳥海高太朗


 新型コロナウイルスの影響で、3月下旬より国際線の発着は、日本到着後にPCR検査が必須となったことへの対応もあり、羽田空港、成田空港、関西空港の3空港に集約されている。現在、9割以上の国際線が欠航となっている中で、4月12日より成田空港の滑走路が2本あるうちの1本(B滑走路)が閉鎖され、当面はA滑走路のみの運用となった。私も3月から4月にかけて、週に1回から2回程度のペースで成田空港を取材しているが、日に日にターミナル内の利用者が激減しており、各ターミナル内のレストランや物販店も営業を徐々に取りやめ、取材の度に休業するお店の比率が日増しに高くなり、特に緊急事態宣言が発令された4月8日以降は、開店しているお店はわずかとなった。開いているお店でも営業時間を大幅に短縮して営業を継続している。

 特に、国際線の発着が中心の第1ターミナルと第2ターミナルは、ごく少数の飛行機利用者と空港勤務者だけで、人の姿はほとんどなく、昼間でも今まで見たことのないくらい閑散としている。天候悪化以外でこのような光景は前代未聞だろう。それでもまだ、国内線のLCCの発着が続いている第3ターミナルには、他のターミナルと比べると、フードコートやチェックインカウンター等で利用者の姿を見ることができたが、4月13日以降は国内のLCC各社の追加減便が始まったことで、第3ターミナルについても人の姿が少なくなっている。

 このような状況であることから、A滑走路を見渡すことができる第1ターミナルの展望デッキでは、いつもは2~3分おきに離着陸する飛行機を眺めることができるが、今では10~15分くらい待って、ようやく離陸もしくは着陸の飛行機を見ることができる状況だ。比較的便数が多い地方空港の展望デッキにいるような気分になった。

 現在の成田空港では、運航を継続している一部の定期便、双方の国から出国できない人を運ぶための臨時便や救援便の運航をしているが、現状としては旅客便以上に貨物専用機の運航が増加傾向にあり、定期便の運休で搭載できない荷物も含め、日本と海外間の荷物を貨物機で運ぶことが増えている。このように限られた便しか飛ばないことから、一時閉鎖されたB滑走路に運休によって当分使用されない飛行機の駐機場所として使われる予定となっている。

 既に羽田空港には駐機できるスペースがなく、さらに減便が増えることで、スペース的にも有効活用できる。早く収束してB滑走路再開となるように願いたい。

 (航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)

 
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