10月1日以降、消費税の増税であらゆるものが値上げになっている中で、京浜急行は羽田空港発着の運賃を値下げし、お得に羽田空港へ行けるようになった。SuicaやPASMOなどのICカード利用については、品川駅―羽田空港国際線ターミナル駅と羽田空港国内線ターミナル駅間が292円で乗車できるようになった。従来が407円だったから115円の大幅値下げとなった。切符の場合も従来の410円から300円に値下げされた。どうしても羽田空港へ行く場合には最低でも500円以上かかるというイメージを持っている中で、292円になったことで品川駅でJR各線に乗り換えても、山手線内であれば片道500円以下でアクセスできる。
筆者も先日、羽田空港国内線ターミナル駅から品川駅まで京浜急行を利用したが、Suicaでタッチすると292円という表示が出て、値下げされたことを実感した。この金額であれば、週末に羽田空港に飛行機を見に行ったり、食事を楽しんだりすることも、これまで以上に気軽に行けるだろう。無料テーマパークとして親しまれている羽田空港がもっと身近になる。
加えて、この金額水準であれば、諸外国の中でも空港アクセスにおいては決して高くない。リーズナブルに空港と都市間を移動できることは、日本を訪れる訪日外国人にとってもメリットは十分にあるだろう。
値下げの背景としては、京浜急行の基本運賃に加えて、羽田空港エリア(天空橋駅以遠)が乗車区間に含まれている場合には、設備投資額を回収するために加算運賃を加えていた。従来の加算運賃は170円となっていたが、一定額の回収が終わったことで10月以降は50円に引き下げられた。今回、120円分が割引になったが、消費増税も含めて最終的にはICカードで115円、切符で110円の値下げとなった。
空港アクセスの価格というのは、特に日本を訪れる訪日外国人にとっては重要なことであり、成田空港で片道千円の格安バスが登場した際にも、いつの間にか口コミで外国人に伝わり、現在では外国人観光客の利用も目立っている。
昔の成田空港は、成田エクスプレスや京成スカイライナー、リムジンバスに乗車しても片道3千円程度が相場だったことを考えると、現在片道千円で都心へダイレクトに行けるようになったことは大きいだろう。今回京浜急行の値下げによって、割安に移動できる空港アクセスの相場としては、羽田空港へは片道500円、成田空港へは片道千円程度となり、空港アクセスについては世界的にも旅行者の財布にも優しい。
(航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)