【交通トレンド分析21】日光へ、外国人を中心に東北新幹線利用者が増加 航空・旅行アナリスト 鳥海高太朗


 都心から日光へ鉄道で向かう場合、真っ先に思い浮かぶのは東武鉄道だろう。特急「スペーシア」で浅草から約1時間50分で東武日光駅に行くことができる。また、JR新宿駅、池袋駅、浦和駅、大宮駅から東武鉄道へ乗り入れる特急「日光」号でも東武日光駅へ向かうことができる。

 訪日旅行客の増加に伴い、外国人観光客が世界遺産にも登録されている日光を訪れる機会も増えている。滞在日数が長い外国人が日本国内の移動で重宝している「ジャパン・レール・パス」。7日間用で普通車用が2万9110円、グリーン車用で4万6390円という安さで、日本全国のJR線を新幹線(のぞみ、みずほを除く)、特急列車も含めて乗車できる。数年前から日本を訪れる前に自分の国で事前に購入しなければならなかったが、現在では成田空港や関西空港などに到着してから購入できるようになったことも追い風となっている。

 話は日光に戻すが、日光への鉄道アクセスとしては東武鉄道以外に、東京駅から東北新幹線を利用して宇都宮駅でJR日光線に乗り換える方法もある。JR日光線は宇都宮駅と日光駅を45分弱で結んでいる。東京駅から宇都宮駅まで新幹線で約50分程度であることから、乗り換え時間を入れても2時間もかからずに日光へ行くことができるのだ。

 筆者は帝京大学宇都宮キャンパスで週1回の講義を担当していることから、毎週、東京―宇都宮間の新幹線を利用しているが、年々、宇都宮で下車をしてそのままJR日光線に乗り換える外国人旅行者が増えているように感じる。ジャパン・レール・パスを利用すれば、追加料金なしで利用できることも利用者が増えている要因だろう。

 JR日光線は宇都宮と日光の約40キロ強の区間を1時間に1本の運転本数となっている。約半分の列車は「いろは」車両と呼ばれる昨年4月にデビューしたオシャレな車両(4両編成)になっており、日光のさまざまな魅力を感じることができるように、車体には日光を表現したアイコンが描かれているほか、外国人旅行者向けの案内掲示を車内でしている。

 また、改造して新たにスーツケースなどを収納できる大型の荷物置き場を設置するなど、増え続ける外国人旅行者に対応した車両となっている。

 新幹線とローカル線の組み合わせは、外国人はもちろんであるが、日本人にとっても楽しめる。日本人にとっては帰りに宇都宮で途中下車して名物の宇都宮餃子を堪能してから新幹線に乗るのもありだろう。いつもと違ったルートで日光へお出かけになってみては。

 (航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)

 
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