3月16日の夜、東北地方を中心に最大震度6強の大きな地震に見舞われた。東北地方だけではなく、関東地方も大きく揺れた。
特に福島から仙台にかけての地域の揺れが激しく、東北新幹線は白石蔵王駅近くで「やまびこ223号」が脱線した。地震直後から那須塩原駅―盛岡駅間で運転見合わせとなり、損傷が激しかったことで3月19日からの3連休においても那須塩原駅―盛岡駅間が引き続き運転見合わせとなった。脱線した車両の撤去作業に時間を要しており、全線開通にはかなりの時間を要する状況の中で、ANAとJALはすぐに動いた。
空港については、地震の翌朝から通常通りの運用が開始され、普段は定期便が運航されていない羽田空港から仙台、福島、花巻への臨時便の運航が始まった。仙台空港については、仙台駅と仙台空港を結ぶ仙台空港アクセス線が地震の翌日の17日は運転見合わせとなりバスでの移動となったが、18日には運転を再開したことで仙台駅からのアクセスもスムーズになった。
例えば、3連休中の3月20日は、羽田―仙台線についてANAが1日5往復、JALが1日4往復の臨時便を飛ばしたが、それでも全便が満席となり、ANAにおいてはボーイング787型機が投入されたが、大きい機体を投入しても満席となっていた。
このほかにも、普段定期便のない花巻への臨時便、さらに定期便がある羽田と秋田、庄内、大館能代、青森、三沢を結ぶ便についても、臨時便や機材の大型化を実施しているが、仙台便同様に満席が続いている。特に春休み期間に重なったことに加えて、これからは卒業、進学、就職、転勤などで転居を伴う移動も増えることで、東北新幹線が全線で運転再開するまでは、短時間で移動できる飛行機移動はありがたい存在となる。
そして今回、不幸中の幸いだったのが、高速道路の復旧が非常に早かったことだ。特に東北自動車道においては翌日の17日の午後には全線で通行止めが解除されたことで陸路での足が確保されたことで、自家用車での移動、さらには高速バスの時刻通りの運行が可能となった。バス各社では臨時便や定期便での複数台運行などで対応することで、飛行機+高速バスで都心と東北を結ぶ交通手段を確保することができ、混乱は最小限で済んだ。
飛行機同様にバスも満席で発車するバスが目立っているが、何よりもひび割れが多かった高速道路の迅速な復旧作業には頭が下がる。しばらくは東北への移動が不便になるが、東北新幹線の早期復旧が待たれる。
(航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)