【交通トレンド分析117】ANAのA380型機、ツアー客乗せて那覇に 鳥海高太朗


 コロナ禍で本来は国内線には投入されることのないウミガメの機体デザインで注目されているANAのエアバスA380型機「FLYING HONU」が初めて那覇空港に飛んだ。

 本来であればこの総2階建ての機体は、成田―ホノルル線のみに投入されているものだが、コロナ禍において国際線の多くの路線で運休が続いており、ハワイ線でのA380型機投入についても、お盆期間中に2往復のみ投入されたが、それ以外は基本的に成田空港に駐機した状況になっている。昨年12月ごろからこの機体を使った成田空港発着の遊覧フライトをはじめ、機体を駐機したまま機内で機内食が楽しめる「レストランHONU」を実施するなど、さまざまなアイデアで海外旅行へ出かけることのできない中で、海外旅行、国際線の気分を少しでも味わえる企画をANAが実施している。

 そのような状況の中で、周遊フライトではなく国内線のフライトとしてシルバーウイーク前半に成田―新千歳、後半には成田―那覇にツアー申込者専用フライトではあるが、北海道旅行や沖縄旅行の2泊3日の旅行にA380型機が投入された。真ん中の日には新千歳空港および那覇空港で遊覧フライトを実施した。

 私はシルバーウイーク後半の那覇でA380型機の離陸を1回、着陸を2回那覇空港近くの撮影スポットである瀬長島や那覇空港で撮影していたが、初めてA380型機が那覇空港に飛来するとのことで、瀬長島には多くの人が訪れていた。リゾート地にA380型機はお似合いであり、天気もよかったことでいい写真が撮れた。私は訪れていないが、シルバーウイーク前半の新千歳空港の展望デッキにはこれまでにないほど多くの人が集まったそうだ。

 今回の新千歳空港、那覇空港へのフライトは、まさにコロナ禍でなければ実現できなかった企画であり、最初で最後になるかもしれないという可能性もある中で、ツアーおよび遊覧フライトについても、海外旅行へ出かけられない人を中心に比較的高額なツアーであるにも関わらず、参加申し込みが相次いだ。今回のシルバーウイークは緊急事態宣言発令中だったこともあり、フライト前後のイベントは自粛されたが、参加者の多くが海外旅行気分を味わうことができたようだ。

 10月30日には、宮古島から伊良部大橋経由でアクセスできる下地島空港にもANAのA380型機が成田空港からのツアー客を乗せて降り立つことになっている。申し込みは好調とのことで10月30日は着陸風景を見に下地島へ行かれる航空ファンも多くなりそうだ。

 (航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)

 
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