私は、近鉄・都ホテルズ直営16ホテルをまとめる本部にてスキルアップのための教育、研修を担当する部署に所属している。その立場で思うことをいくつかご紹介する。
社員一人一人の可能性を最大限に引き出すために、人間性を成長させ、人の心に響くもてなしの表現力をどのように磨いていってもらうのか、といった難しい課題に取り組んでいる。
優良社員表彰、料理コンテスト、ホスピタリティコンテスト、カクテルコンペなどを実施し、日々習得した知識や技術を競い合い、優秀な社員を会社として賞賛をする会を開催している。努力してきたことが認められる場をつくることで、社員の士気を高め、次のステップへのチャレンジ意欲をかき立てるきっかけにしてもらうことを目的としている。
そして、社員の成長がホテル、会社の発展につながり、ひいてはホテル業界のステータスアップにつながればと考えている。資格支援制度として、指定した検定試験の合格者には受験料を支援し、また、奨励する通信教育講座で学習し、条件を満たした社員には一定額を負担し、間接的に社員への助成を行っている。
それから、ホテルの現場でお客さまから大いに育てていただくものと感じている。お客さまからのお叱りを直に受け、また一方でいたく感謝される経験が仕事の一工夫を生み出す力になると思う。若い頃「その言葉遣いおかしいよ」とお客さまにご指摘を賜ることがあった。また、「元気でずっとここにいてくださいね」と励ましのお声掛けをいただくこともあった。その経験から創意工夫の仕方を考える気付きと自信、喜びを得たように思う。
最後にホテル業35年目にして思うことは、社員教育であっても家庭教育と類似している点があり、親の立場にある人は次の世代から厳しい目で見られていると意識することが求められる。身をもって模範を示しつつ、是は是、非は非の部分を明確に伝えていくことが大事なことだと信じている。
(NPO・シニアマイスターネットワーク会員 近鉄・都ホテルズ営業推進部教育研修、岡本正子)