【シニアマイスター経営の知恵 57】2020年東京オリンピック後も生き残れますか 一尾敏正

  • 2018年4月14日

 観光業の労働生産性向上が声高にいわれている。多くの経営者は、労働生産性と品質の狭間にいる。

 一般的に労働生産性向上を担っているのが機械化である。人件費が最大のコストである。某自動車メーカーに倣いコストカッターを自慢する経営者も出てくる。現実に、空港や宿泊業での自動チェックインが進みつつある。人に取って代わる業務である。だが、全てを機械化できるものでもない。頭で分かっても経営者を悩ます課題である。固定観念、プライドが邪魔をする。そんな常識を変え、取り組む企業がある。2件紹介する。

 先般訪れた「湯元館」である。トリップアドバイザーでも上位のランキングである。省力化とサービス向上に成功している。さらに驚くことに同業他社に情報を公開している。業界への貢献も大きい。旅館業の最大のコストを調理と捉えている。調理部門を改革した。また、業務の中心にチームワークを入れた。チームワークは、情報の共有化である。生産性向上の中心に情報が置かれ、サービス提供者、調理、洗い場担当など館内が一元化された。現場は生き生きとしていた。

 もう一つが「道頓堀ホテル」である。大阪でホテルがにぎわったのは一時である。多くが低価格の民泊に客を奪われ、ビジネスホテルといえども稼働率は低下している。その中で、訪日外客から支持されている。このホテル、特段安い訳ではない。むしろ高い観もある。しかし、人気は高い。人気の秘密は、従業員の働きにあった。ゲストに対して一生懸命である。この一生懸命が違う。ここに、採用から人材育成の独自のプロセスを作った。同社の橋本専務曰く、採用にこだわり、理念を訴えたという。同じ価値観を共有する。そのために、採用試験や採用後のフォローも一人一人に時間を惜しまない。

 近年、コア・コンピタンス経営といわれるが、真の強みは、顧客以上に従業員のファンを増やすことだ。そのためにも、経営者が自らを見つめ直し、人件費がコストでなく、宝となる努力が必要である。

 (NPO・シニアマイスターネットワーク会員 神戸海星女子学院大学現代人間学部准教授 日本ホスピタリティマネジメント学会会員、一尾敏正)

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