【シニアマイスター経営の知恵 180】観光教育にデータサイエンス教育を 横浜市立大学国際教養学部 准教授 有馬貴之


 Chat―GPTに代表される生成系AIと人間はどのように付き合っていくべきなのか、さまざまな場面で議論が活発化している。観光業界においても同様で、既にAIを用いたサービスが開発され、今後、生成系AIの活用が容易に予想される。

 一方で、大学の観光教育の場面において、観光とAIやプログラミング、さらにはデータサイエンスを専門的に学べる機会はほとんど用意されていない。理工学系の専門教育において観光をテーマに分析、研究されることはあるものの、観光の諸要素に関する専門教育を受けた上で、それらをデータサイエンスの力を用いて分析し、サービスの開発や実装をする観光教育は、日本にはほとんど存在しないと言ってよい。

 日本の大学における観光系学部の開設ラッシュは、2003年の観光立国宣言を契機とし、高度な観光人材の育成を目的としたものであった。教育内容は観光場面での即戦力となる実務教育に偏ったものが多かった。もちろん、観光地、ホテル、旅行会社、交通、サービスに役立つ人材は、今日でも喉から手が出るほど欲しい即戦力かもしれない。しかし、その教育思想は、現状を後追いする教育思想へと変化し、観光を取り巻くより大きな社会や学問領域の動向を切り離していくことにつながってしまった。結果、今日の大学における観光教育は、将来を予測し、新たなイノベーションを産む教育ではなくなっている。

 未来の観光により多様な知識や経験、技術の教育が必要であると考えれば、その一つにAI開発などを含めたデータサイエンスの知識とスキルを培う教育がある。既に社会では人流データ・サービスが乱立している。しかし、これらのデータを具体的な施策へと展開させ、継続的に効果検証をしている観光組織はあまり聞いたことがない。サービス提供側も具体的な観光施策への貢献に対しては手探りの状況である。

 5年ほど前から注目されてきたデータサイエンス教育、そろそろ観光教育においても主要なものとして取り入れられるべきだろう。

 (横浜市立大学国際教養学部准教授 有馬貴之)

 
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