【シニアマイスター経営の知恵 142】適材適所とSDGs エバーグリーンインターナショナルホテルズ日本地区代表 諸岡 潔


 仕事の合間を縫って、久しぶりに、中国地方の歴史ある城下町へ、旅に出かけた。

 とある神社で、幕末にかけて明治維新より多くの総理大臣をはじめ、多くの立役者を輩出した塾を目の当たりにし、おのおの志士の、改めてその志に浅はかながら感銘を受けつつ、初心新たに老舗の宿へ向かった。宿のお迎えスタッフの対応は素晴らしく、同じ業界に携わる者として厳しく見ても、決して飾りでない、心底心の通ったお迎えができており、スタッフの良い人徳も見て取れる。

 宿の第一印象はバッチリである。まさに適材適所だと感じた。

 至極、良い気分で温泉に入り、地産地消に役立てるかは定かではないが、地酒を合わせ宿自慢の山海の幸を堪能した。殊更に、気分上々である。

 われながら、この上々気分に水を差さぬよう、気を使いながら、あえて言うならば、改めて部屋に戻り火に油を注ぎたいと思い、意気揚々と宿の売店に向かった。

 実は手元に、地域振興クーポンが3千円分。

 これはこれはと、地元海産物のおつまみを一通り買いそろえ、先ほどの地酒も追加し、ここでも観光業界浮揚と地産地消に役立っているつもりである。お釣りが出ないので、きっちりとうまい買い物をちょうど3千円分ギリギリまで。しかし、5円のビニール袋代までは足りなかった。

 仕方なくそれらを抱きかかえるように売店を出る。いつも思うが、ビニール袋もシールなく品物を直接持って出ると、何か悪いことを行っている気分になる。だがしかし、部屋へ戻る途中、腕の隙間から缶ビールと日本酒が飛び出した。後の祭りである。

 昨今、SDGsの大義名分?!を名の下に、環境対策や政策が跋扈(ばっこ)しているが、この政策も例外でなく、某元環境大臣の目玉政策だそうである。しかし、日本から毎年排出される廃プラスチックのうち、レジ袋が占める割合は2%程度といわれており、プラスチックごみ全体の量から見ればごくわずかである。おまけに残念ながら、万引きや盗難が増えているとの報告もある。

 通常、袋が必要な際は仕方なく購入するが、もちろん無精をした私も悪い。ただ、物事の本質を考えると、お上の愚策に思えるのは私だけだろうか。SDGsという言葉とカッコだけが先行していると思える。

 やはり、大臣だろうが課員だろうが、理事・委員長だろうが、適材適所というのはどのようなポジションにおいても、すこぶる大事である。

 (一般社団法人日本宿泊産業マネジメント技能協会会員 エバーグリーンインターナショナルホテルズ日本地区代表 諸岡潔)       

 
新聞ご購読のお申し込み

注目のコンテンツ

第37回「にっぽんの温泉100選」発表!(2023年12月18日号発表)

  • 1位草津、2位下呂、3位道後

2023年度「5つ星の宿」発表!(2023年12月18日号発表)

  • 最新の「人気温泉旅館ホテル250選」「5つ星の宿」「5つ星の宿プラチナ」は?

第37回にっぽんの温泉100選「投票理由別ランキング ベスト100」(2024年1月1日号発表)

  • 「雰囲気」「見所・レジャー&体験」「泉質」「郷土料理・ご当地グルメ」の各カテゴリ別ランキング・ベスト100を発表!

2023 年度人気温泉旅館ホテル250選「投票理由別ランキング ベスト100」(2024年1月22日号発表)

  • 「料理」「接客」「温泉・浴場」「施設」「雰囲気」のベスト100軒