【シニアマイスター経営の知恵 130】袁さんから学んだこと 日本宿泊産業マネジメント協会会員・長寿荘経営企画本部長 上島誉郎


 私が、ここ茨城県に赴任して6年が過ぎた。その間、国内外の多くの経営者の方にお会いしたが、一番印象に残っているのは、香港最大手の旅行会社、EGL Tours社長の袁文英氏である。彼の名刺には、皆が呼びやすいようにEnsanと書かれてある。日本の大学を卒業されたこともあり、日本語がお上手で、また、ユーモアの精神に富んだ方で、私たちとの会話をよく和ませていただいた。

 彼は、35年以上前にこの旅行会社を設立、これまでご自分が訪問した日本各地を紹介し、大勢のお客さまを日本へ送客されてきた。その功績もあり、現在、47都道府県のうち40カ所以上から国際観光大使を委嘱され、当県でも、2017年11月に県第1号の国際観光大使に任命され、知事から委嘱状が手渡された。

 同社では、彼の考えで、(1)ガイドの方を1人研修に行かせたり、(2)日本国内でロゴや会社カラーでペイントしたバスを年間契約し運行させたり、(3)また、私たちにも滞在中に何か気付いた点があれば教えて下さい等と、常にツアー品質に大変な気配りをされている。その極め付けは、催行中のバスのツアーガイドに国際電話をし、「今、走っているバスの、前から3列目の右窓側のお客さまと電話を代わって下さい」と伝え、ツアー参加者の生の声を聴くという。通常ではなかなかできない手法で、顧客満足とサービス向上に努力されていて、私たちも見習うべき点があると強く感じた次第である。

 2019年には、33周年祝賀会が香港コンベンションセンターで盛大に開催された。日本から千名近い自治体関係者や観光事業者が招待され、私も、弊社海野泰司社長に随行し出席させていただいた。

 あれから2年がたち、世の中は大きく変わった。コロナ禍である。海外からの訪日旅行はストップしている状況である。その中で、彼は、旅行事業の減収を補うため、WEB上で物品販売を始め、成果を挙げていると聞く。

 また、本年5月にはFlycationという遊覧飛行を現地で3本企画催行し、そのうちの1本が茨城県観光をテーマにしたツアーで、発売開始後、すぐに予約で埋まったという。

 Ensanは、ご自分の「EN」という字は、ご縁の「縁」に通じると話されていたことを思い出した。私もこの「ご縁」を大切にし、コロナ終息後に、また、彼にお会いしたい。

 (一般社団法人日本宿泊産業マネジメント技能協会会員 株式会社長寿荘経営企画本部長 上島誉郎)

 
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