コロナ禍ではあるが、今夏関西にも新しいタイプの宿泊施設がオープンしている。いくつかの施設を見学したが自身の忘備録も兼ねて「エースホテル京都」を紹介したい。
当ホテルは京都・烏丸御池の「新風館」のリニューアルに伴い誕生した。経営は、NTT都市開発で「エースホテル」はライフスタイルホテルの嚆矢(こうし)となったホテル。ライフスタイルホテルに関しては明確な定義はないが、特徴としてホテルを第3の場所としてとらえ、宿泊、食事に加えて、地元との交流の場となるホテル作りを行うことといえる。当ホテルもロビーに開放的なラウンジを設けており、地元のノマドワーカー的なゲストがコーヒーを飲みながらタブレットで仕事をする風景も見られた。
客室には、オリジナルの自然派アメニティに加え、レコードプレーヤーやギターが設置されていたり布団対応の和室があったりと遊び心にあふれている(その部屋に合ったLPレコードも置いてある)。
また婚礼対応も可能な宴会場を持っていることも特徴といえる。国内で地元とのコミュニケーションを重視するのであれば、ライフスタイルホテルにおいても婚礼施設を持つということは一つの選択肢にもなると感じた。
コロナ禍のため、メインダイニングの開業を遅らせているとのことだが、私がランチで訪れた「piopiko」(メキシコ料理)は千円台の単価もあり満席であった。味もであるがゲストへの絶妙なタイミングで声掛けを行うスタッフのホスピタリティマインドには大いに満足できるものであった。何より楽しそうに仕事をしているのが伝わってきた。ライフスタイルホテルというと、デザイン性や機能面での仕掛けに目が行きがちであるがゲスト側からいうと、居心地の良さは対人的要素が大きいと改めて認識した次第である。
忙しい中、飯田上席総支配人に案内いただいた。今後のますますの発展を祈念するとともにスタッフ教育、環境創りに注力するその姿勢に敬意を表したい。
(一般社団法人日本宿泊産業マネジメント技能協会会員 流通科学大学人間社会学部観光学科教授 髙田宏)