悪態まつり(茨城県笠間市)
今回は毎年12月中旬に行われ、日本三大奇祭の一つともいわれる茨城県の奇祭、悪態まつりを紹介する。
このお祭りでは、氏子が扮する13人のてんぐが山裾から頂上の愛宕神社へと、道中13カ所あるてんぐのほこらにお供え物をしながら向かう。この間、てんぐたちは一切無言に徹する。その際、来場者はてんぐたちに向かって悪態の限りを尽くす。定番は「さっさと歩けよ、バカヤロー!」などだろうか。語尾に必ず「バカヤロー!」をつけるのが一つの型となっている。
悪態は必ずしもてんぐたちを非難する内容でなくても、「好きな人の前だと空回りしちゃう、私のバカヤロー!」などと、恋に臆病で切ない自分の心情を吐露しても大丈夫。もちろん、個人的な名称や名前を出して悪口を言うと、ただの誹謗(ひほう)中傷になるので、くれぐれもご注意を。
悪態まつりの由来については、怨霊や疫病を退治する「悪退」から来ている説、領主が住民の日頃の不平や不満を悪態の中から探ろうとした説などさまざまなものがある。
また、各所に点在するてんぐのほこらでは、見物客によるお供え物の争奪戦も繰り広げられ、これも祭りのもう一つの見所となっている。お供え物を持ち帰ると、無病息災、家内安全、五穀豊穣のご利益があるとされていることから、参拝者はわれ先にと争い、参拝者同士の悪態が神聖静寂な境内にこだまする。
ただし、フライングはNG。神官が拝み終わる前に供え物を奪い取ろうとするなどの行為はルール違反だ。この場合、掟破り行為とみなされ、てんぐから青竹で阻止され、ケガをする場合があるので注意しよう。
てんぐたちが無事にゴールである愛宕神社に着いたら、最後は盛大な餅まきが行われる。これもまた争奪戦だ。そして最後は全員で「バカヤロー!」を3回連呼してフィナーレ。祭りは例年であれば、12月中旬の日曜日に行われる。気になる方はぜひ参加してみては。
(奇祭ハンター・まっく)
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散々悪態をついた後、最後は餅まきで締め