【オマツリジャパンの毎週祭日 69】歌い継がれる踊りの歴史 踊る阿呆に書く阿呆・りえこ


熱気あふれる阿波おどり演舞場

徳島阿波おどり(徳島市)

 「踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃソンソン」。これは言わずと知れた、徳島阿波おどりで歌われる歌の一つ。阿波踊りでは、踊りを盛り上げたり、フォーメーションを変えるきっかけとしてさまざまな歌が歌われる。ここでは、これらの歌の中から、特に徳島という土地に根付いた歌詞を選び、この祭りが育った土壌を紹介したい。

 まずは、「阿波の殿様蜂須賀さまが、今に残せし阿波踊り」。阿波踊り起源の一つに、蜂須賀家による徳島城落成を祝して、町民が踊ったこととする説がある。時代考証的には疑問視されるが、歌詞には郷土への誇りが感じられ、ぐっとくるものがある。祭り期間中は、徳島城址や徳島城博物館で行われる特別催事に足を運ぶのもお勧めである。

 次は、「新町橋まで行かんかこいこい」。新町橋とは、徳島市内を流れる新町川に架かる橋。歌詞のルーツは、江戸時代の風紀規制に反対した町民がこの橋まで歌いながら踊ったことといわれる。祭り期間中、新町橋周辺は演舞場や踊り広場、群衆が踊り狂う飛び入り会場と、最も熱いスポットの一つとなる。舞台踊りが披露される「あわぎんホール」の緞帳には、この橋の上で踊る人々の絵が描かれており、現在の新町橋周辺と見比べるのも面白い。

 最後は「笹山越えれば笹ばかり、大谷通れば石ばかり、猪豆食ってホ~イホイホイ」。徳島のシンボルといえば「眉山」。その北側の佐古山大谷地区にあった笹が生い茂る石切り場を指すといわれ、後半は農耕儀礼の猪追いの影響がみられる。眉山麓の阿波おどり会館から山頂までロープウエーで登れば、徳島市内を一望することができる。

 日本の祭りは、歌い継がれる歌詞を通じて、その土地を深く知ることができる。遠い昔、同じ土地を踏んで踊った人々を想像すると、大げさだが旅に何百年分の価値が付加される気がする。徳島阿波おどりは毎年8月12~15日開催。ぜひ、地図と見比べながら、熱狂を支えた歴史を感じてほしい。

(踊る阿呆に書く阿呆・りえこ)

【オマツリジャパン】
日本初の祭りサポート専門会社。「祭りで日本を盛り上げる」を目標に掲げ、祭りのコンサルティング、プロモーション、日本最大級のWEBプラットフォーム運営など、地方創生に取り組む。https://omatsurijapan.com

熱気あふれる阿波おどり演舞場

 

 
新聞ご購読のお申し込み

注目のコンテンツ

第37回「にっぽんの温泉100選」発表!(2023年12月18日号発表)

  • 1位草津、2位下呂、3位道後

2023年度「5つ星の宿」発表!(2023年12月18日号発表)

  • 最新の「人気温泉旅館ホテル250選」「5つ星の宿」「5つ星の宿プラチナ」は?

第37回にっぽんの温泉100選「投票理由別ランキング ベスト100」(2024年1月1日号発表)

  • 「雰囲気」「見所・レジャー&体験」「泉質」「郷土料理・ご当地グルメ」の各カテゴリ別ランキング・ベスト100を発表!

2023 年度人気温泉旅館ホテル250選「投票理由別ランキング ベスト100」(2024年1月22日号発表)

  • 「料理」「接客」「温泉・浴場」「施設」「雰囲気」のベスト100軒