今年度になりコロナの影響も薄くなり、マーケットも堅調に動いている状態が続いているが、コロナ前と大きく異なる点を感じる機会が多かったので、述べたいと思う。それが、つまりタイトルのとおりであるが「満室への執念」である。「満室への執念不足」と言い換えてもよい。どういうことかというと、コロナ前に比べると、明らかに満室にしている施設が減った印象を受けており、それはさまざまな事情はあるものの執念不足と言える点もないだろうかという意味である。
例えば、ゴールデンウイークの5月3、4日も稼働率では95%や96%でとどまっているというパターンである。95%もいけば十分ではという声もあるが、この差は大きい。例えば100室の旅館が95%の稼働でとどめると5室分売り残したことになる。ゴールデンウイークなどは単価も高いので、1室10万円で販売できたと仮定すると、5室×10万で50万円である。2日間なら100万円である。
あるいは200室のビジネスホテルで稼働率95%にとどめたとすると、ビジネスホテルの場合はピーク日が水、木、土の3日間であることが多いので、室単価を8千円と仮定すると1週間で10室×8千円×3日間=24万円の機会損失である。旅館の2日間、ホテルの1週間でこれだけの額であるので、年間で換算するといわんやである。
がむしゃらに値下げしてでも満室を狙いましょうという時代錯誤のことを言うつもりはなく、単純にお客さまの需要が高い日にきちんと満室にする努力をしましょうという話である。それだけで年間で数千万円売り上げが異なるケースがあるのである。
では、これを実施するためには何が必要かというと、それがタイトル通りの執念なのである。つまり意識の問題である。満室になっていないケースの施設は得てして、社長がチェックを怠っているケースが多い。ここは残念ながら現場任せではうまくいかないことが多い。売り上げと利益にコミットしている社長だからこそ、厳しく細かく追及できるのである。
これから7月の3連休や夏休みと満室を狙える日が続くので、可能な限り満室にこだわってほしい。その効果は売り上げや営業利益を見たときに必ず実感できると思う。
(アビリブ・プライムコンセプト取締役 内藤英賢)