
前号ではゴールデンウイークの最新の動き並びに刻一刻と変わる新型コロナウイルスの影響による動きを伝えた。事態はさらに進み、4月16日に全国に緊急事態宣言が発令された。これにより多くの宿泊施設でも休業措置を実施するところが増えた。さて、この新型コロナウイルスであるが、多くの専門家が「長期化」すると見立てている。それを見越して「アフターコロナ」の世界を考え、今のうちから対策を考えておきたい。
まずは、今後のお客さまの購買行動は「3密」を避ける方向に向かうのは確実だと想定される。たとえ5月6日をもって緊急事態宣言が終了となっても、当面は「3密を避けて行動すべし」というのはスローガンとなり、購買行動に影響を及ぼすと思われる。従って、何が起こるかというと、(現時点でもその傾向があるが)「露天風呂付き客室」「お部屋食や個室お食事処(どころ)」といった商品が選ばれる傾向になると想定される。露天風呂付き客室やお部屋食や個室お食事処が提供できない施設もあると思うが、そのような施設でも、お客さまに選ばれるために「3密」を避けた過ごし方の提案は必須事項になると思われる。
3密を避けるために「マイカー」で移動し、「客室にこもる」という行動は「内にこもる」というベクトルとなり、人が持つ旅をする元来の欲求を100%満たせない部分もあるので、「外に放つ」という方向の提案も魅力を増すと想定される。キャンプやグランピングの需要が増えていることからも、「大自然で過ごす」「混んでいない、その地方独特の魅力がある観光コンテンツ」などが脚光を浴びる可能性がある。
コロナの影響で、ある意味で強引に「テレワークの推進」「あらゆるもののオンライン化」「ECショッピングの増加」などが進んだ。これらは不可逆的なものも多く、アフターコロナではあらゆるものの在り方が変わると想定される。それは宿泊業界においても例外ではなく、アフターコロナの世界を想像して、今のうちから準備ができた施設が、アフターコロナ後に選ばれる施設となる可能性が高い。苦しいときではあるが、未来に向けた思考だけは止めずに頑張ってほしい。
(アビリブ・プライムコンセプト取締役 内藤英賢)