【ちょっと よろしいですか 85】コロナ禍の今「女性が旅館やホテルに求めるもの」とは? 山崎まゆみ


山崎氏

 コロナの終焉(しゅうえん)が見えず、息苦しい毎日かと思います。宿泊業の皆さんに少しでもヒントになればと、今回は「女性がコロナ禍に求める旅館像」を話題にしたいと思います。

 このところ、女性に圧倒的に支持されている女性パーソナリティーのラジオ番組に立て続けに出演しました。

 まず、NHKの武内陶子アナウンサーが進行役の「ごごカフェ」(4月12日放送分に出演)です。武内さんがSNSに投稿されたリスナーからの声を拾いながら、リスナーさんと共に盛り上がるという生放送です。私は「絶景」「温泉ごはん」「ひとりでまったり」「親孝行したい」という四つの願望別に温泉地を紹介しました。この四つは女性のみならず、性別や年齢を問わない普遍的なニーズでしょうね。

 「あさこ・佳代子の大人なラジオ女子会」(4月21日放送分に出演)は、超売れっ子芸人のいとうあさこさんと大久保佳代子さんが、プライベートでも仲良しというだけあって絶妙なトークを繰り広げる番組。私は温泉の専門家の立場で温泉をナビゲートするはずが、ついつい同世代の女性が求める温泉像の話で盛り上がってしまいました。3人で共通した温泉へのニーズは「まったりしたい」です。

 そういえば、武内陶子さんも「温泉行きた~い! まったりした~い!」と、まるで雄たけびのように訴えていました。
 コロナ禍では、誰もが閉塞(へいそく)感を抱いています。だからこそ「まったりした~い」と叫びたくなる。まさに、「まったり」という言葉はとりわけ女性を引き付けるのでしょう。

 では、「まったり」とは、具体的に何を指すのか―。

 それは、旅館やホテルで温泉に漬かり、ごはんを食べる以外は何もしないということです。お湯に漬かり、部屋でうたた寝。お菓子をちょっと食べながらゴロゴロ。夕食でごちそう食べたら、またダラダラ。そうしただらけた時間を過ごすことなのです。

 その際に宿泊施設側が大切にしなければならないのは、「だらだら時間を邪魔しない」です。加えて言えば、「だらだら環境の充実」です。

 チェックインしたらすぐ横になれるように部屋に寝具を敷いていてほしい。その寝具にも凝ってほしい。枕が選べたらベター。浴衣以外に着心地のいい室内着がほしい。ちょっとぜいたくな甘い物をお部屋に置いてほしい。できれば安眠できるカモミールティーもほしい。そしてくつろげる香りもあればうれしい。

 以上は私の個人的な好みも入っていますが、ぜひ女性のお客さんに向けた「まったりプラン」をご検討ください。

 全国の温泉地を取材に出かけると、コロナ禍によって、70室以上の大型の宿泊施設は稼働率が2~3割と厳しい様子。一方、20室前後の宿は稼働率7~8割と聞きます。この違いは何でしょう。

 「これまでのお客さんとの付き合い方が如実に反映されてきました。お客さんとの関係性がいい宿は、お客さんも安心して泊まれる。宿もリピーターさんなら安心して受け入れられる。双方の信頼関係がある宿は稼働率が8割いってますね」とは、某有名温泉地のまとめ役の方の言葉です。

 どうぞお客さんが求めることを提供し、お客さんとの関係性を築きあげてください。今こそ、リピーターさんを作ってください。

 本連載で度々お伝えしてきましたが、宿泊業こそ「ファンビジネス」が最も適しているのではないでしょうか。

(温泉エッセイスト)

 
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