若草山で朝食楽しむ
第893回「よその旅館ホテル」
──歴史のあるお宿のようですね。
「オーナーが変わりながらではありますが、江戸時代から続いています。山岡鉄舟や谷崎潤一郎などの文人墨客の定宿だったそうです。そこを祖母が買い取り、今に至っています」
──一番の売りは。
「若草山の目の前という抜群のロケーションでしょうか。若草山の麓、入山口のすぐそばにあります。春日大社と東大寺を結ぶ参道の中ほどでもありますので、どちらにお参りするのにも便利です」
「立地を生かして若草山での朝食を楽しんでいただいています。チェックイン時に希望された方に、朝食としておにぎりやだし巻き卵などを詰めたお弁当をお渡しするものです。当館では特別に開山時間前に若草山に入っていただけますので、眺望を楽しみながらゆっくりと朝食を味わっていただけます」
「お客さまには奈良の一番良いところを見ていただきたいと思っています。それが『奈良の朝』です。観光客で賑わう昼間も良いですが、静寂の中の、古都の荘厳な雰囲気は素晴らしいものです」
──客層は。
「東京からお越しになる方も多いですが、新年会などの地元のお客さまも多いです。本館と新館があるのですが、ご親族で片方を借り切って集まられる方もいらっしゃいます。2、3年前からは海外の方も増えてきました。リピーターの方も多いです。海外の方の大半が若草山での朝食を選ばれるんですよ」
──経営の悩みは。
「当館は風致地区内のためハード面の手入れが簡単にはできません。奈良は行政が観光に協力的ですが、そういった面の規制緩和なども考えていただけるとありがたいですね」
【12室、1泊2食1万8千円から】