日本の伝統文化への深い関心と敬意 スターウッドホテルズCEO ラウル・レアル氏に聞く


スターウッドホテルズCEO ラウル・レアル氏

 2026年3月、スターウッド・キャピタル・グループ傘下のブランドマネジメント会社「スターウッドホテルズ」が、待望の日本初進出となる「1 Hotel Tokyo」を東京・赤坂に開業した。「自然からインスピレーションを受けたミッション主導型のラグジュアリーライフスタイルホテルブランド」として、サステナビリティとラグジュアリーを高い次元で両立させる1 Hotelsは、世界のホテルシーンに新たな基準を提示し続けている。

 その日本初上陸という記念すべきタイミングで、スターウッドホテルズの最高経営責任者(CEO)であるラウル・レアル氏が来日。40年以上にわたりホテル業界でラグジュアリーおよびライフスタイルブランドを牽引してきた同氏は、日本市場のポテンシャルと今後の展開をどのように見ているのか。そのビジョンを聞いた。

 

「世界で最も望ましい都市」東京と日本市場のポテンシャル

 ――「1 Hotel Tokyo」が開業しました。日本のマーケットの現状と今後の見通しについて、どのようにお考えでしょうか。

 

 「東京は世界中で最も望ましい都市の一つです。そして日本は、今後10年間、地域的にも国際的にも非常に大きな勢いを持つ場所だと考えています。世界中から人々が目的地として日本を目指している状況であり、そうした意味で、東京、そして日本という国にホテルを持つことは素晴らしいことです。特に今の時代において、東京と日本の魅力は非常に進化的でありながら、同時にとても伝統的な環境が共存している点にあります。人々は今、この地域が持つ自然や伝統に、より一層の魅力を感じています」

 

 ――今回、日本初進出のパートナーとして森トラスト株式会社と組まれました。今後の展開も、森トラストさんと一緒に進めていくのでしょうか。

 

 「もちろん森トラストとは、今後もより多くのプロジェクトを進めていきたいと考えています」

 

成長の鍵は「正しいパートナーと正しい場所」

 ――他のパートナーと組む可能性もあるのでしょうか。

 

 「私たちの成長は、正しいパートナーと正しい場所を見つけることにかかっています。私たちのビジネスのポートフォリオは、あるべきパートナーと適切な場所に、素晴らしいホテルを生み出すことに尽きます。それは世界中どこであっても変わりません。それが私たちのミッションなのです。ですから、プロパティや案件、ロケーション次第で、どのパートナーと組むのが最適かを判断していくことになります」

 

 ――つまり、量的な成長を追い求めるのではない、と。

 

「その通りです。私たちは成長のために成長するのではありません。私たちの視点は、量よりも質を重視することにあります。人々は、20年間も同じであり続けたような伝統的なホテルに少し疲れています。ユニークな経験を求めているのです。私たちは、そうした要望に応えられるホテルを提供していきたいと考えています」

 

質を追求する3つのブランド戦略

 ――現在、スターウッドホテルズでは3つのブランドを展開されていると伺いました。

 

 「はい。基盤となっているのが、今回日本に初進出した『1 Hotels』です。次に、スーパーラグジュアリーな『Baccarat Hotels』。そして3つ目が、1 Hotelsの少し軽やかなバージョンと位置づけられる『Treehouse Hotels』です」

 

 ――今後の日本での展開は、どのブランドを考えていらっしゃいますか。

 

 「3つのブランドすべてに可能性があります。場所も東京だけに限らず、西日本やニセコなど、さまざまな地域を視野に入れています。現段階で、どのブランドがどこで最初になるか、具体的に申し上げることはできません」

 

 ――例えば、いつ頃までに何軒オープンさせたい、といった数値目標はありますか。

 「意図的に数字を作ることはしたくありません。私たちは数字に囚われたくないのです。大切なのは、最初に最も完璧なホテルを立ち上げること。もしそれが1軒だけであっても、それで良いと考えています。この『1 Hotel Tokyo』が成功すれば、より多くの人が私たちのホテルに来てくれるようになると信じています」

 

日本の伝統文化への深い関心と敬意

 ――少し個人的な質問になりますが、日本の温泉や旅館に行かれたことはありますか。

 

 「いいえ、まだありません。ですが、私の『やりたいことリスト』に入っています。ぜひ行ってみたいですね。もしおすすめがあれば教えてください」

 

 ――日本の伝統的な温泉地には素晴らしい旅館がたくさんありますよ。

 

 「伝統に触れることは非常に重要だと考えています。宿泊を通して、その土地の文化や伝統をきちんと経験できることが大切です。例えば、畳の部屋なども素晴らしい文化だと思います」

 

寿司への愛と日本料理のフィロソフィー

 ――お好きな和食は何ですか。

 

「それはとても簡単です。私はお寿司が大好きです。きっと永遠に好きですね。今回も日本に戻ってきて、本物の寿司を食べるのをとても楽しみにしていました。アメリカで食べる寿司とは違います。昨日も食べましたが、本当に美味しかったです」

 

 ――お寿司がお好きなら、伝統的な日本旅館の料理もきっと気に入っていただけると思います。日本の料理は、西洋料理がスパイスを多用するのとは対照的に、『出汁(だし)』の文化があり、素材そのものの味を生かすことを大切にしています。

 

 「はい。あまり濃い味付けにしない。そのフィロソフィーが素晴らしいと思います。お寿司もまさにそうですね。

 

ラウル・レアル (RAUL LEAL)氏 

スターウッド・キャピタル・グループ傘下のブランドマネジメント会社「スターウッド・ホテルズ」の最高経営責任者(CEO)。同社は、1 Hotels、Baccarat Hotels、Treehouse Hotelsを展開し、現在、開業済みおよび開発中を含め40以上のプロパティをグローバルに展開している。事業のあらゆる側面において「人」と「地球」を最優先に掲げる経営を推進。ホテル業界で40年以上の経験を持ち、オーナーおよびオペレーター双方の立場からラグジュアリーおよびライフスタイルブランドの成長を牽引してきた。現在は、グレーター・マイアミ・コンベンション&ビジターズ・ビューローの理事も務める。

【kankokeizai.com 編集長 江口英一】

 
 
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