【いつか来る需要回復に向けて:再考 再構築 復活 4】急速な変化に対応し、復興から成長へとつなぐために エクスペディアホールディングス代表取締役 マイケル・ダイクス


 2020年は劇的な変化の年となりました。旅行業界がコロナ以前の水準に回復するには、まだ時間がかかるものと予想されています。未知の要素は少なくありませんが、危機に直面した旅行業界では結果的に革新のスピードが高まったり、新しい取り組みが始まったりしており、前進し続けていることから、一筋の希望の光が差し込んでいます。今こそ、成長と変化の時であるといえます。

 過去8カ月間で、私たちの生活は大きな変化に見舞われてしまいました。特に、人との接し方、買い物の仕方、支払い方法は大きく変わりました。こうした変化に伴い、あらゆる分野でデジタル技術が驚異的なスピードで加速することとなりました。消費者および企業のデジタル化は、約8週間で5年先まで進んだとも言われています。

 ホスピタリティー業界の成功にテクノロジーが果たす役割

 変化の時代において、テクノロジーの有効活用は最重要課題です。リアルタイムのデータ処理を可能とする洗練されたデジタルソリューションは、もはや必須となっています。特に、需要の変動が激しく、過去のデータが参考になりづらい今のマーケットにおいては必要不可欠です。宿泊施設の経営者は今、どこに、どのような需要があるのかを何よりも知る必要があります。また競合施設の動きを察知する能力も求められます。さらに、これまで以上に柔軟な対応と透明性を示すことにより、旅行者が安心して予約できる環境をつくる必要もあります。最新テクノロジーの活用が、こうした新たな現実への架け橋となるでしょう。

 競争力の維持

 レベニューマネージメント(収益管理)は宿泊施設の経営の根幹の一つでありますが、日本においてレベニューマネージメントにまつわるテクノロジーの普及はまだ十分に進んでおりません。収益管理テクノロジーを利用することにより、弊社のパートナー施設の皆さまは、データに基づく正しい意思決定が可能となるでしょう。直観や憶測に頼る必要性はもはやありません。現在のところ、テクノロジーとデータを利用したレベニューマネージメントを一貫して行っている宿泊施設は僅少です。競合施設やマーケットの需要に関する貴重な情報を入手する手段を持たない施設は、激しい市場競争で不利な立場を強いられます。

 Expedia Groupではパートナー施設の皆さまにデータ主導型のマーケット予想を提供するレベニューマネージメント・ツールRev+を無償でご提供しています。このツールを利用することにより、例えば、周辺宿泊施設の販売価格や需要予測などに基づいた適正販売価格を導き出すことができます。このたび弊社では、レベニューマネージメントテクノロジーの普及をさらに推進するために、「Rev+Insights API」のご提供を開始いたしました。新しいAPIの活用により、Rev+のリアルタイム情報と需要分析データを直接、チャネルマネージャーに公開されます。これにより、日々の業務管理にチャネルマネージャーを利用されているパートナー施設さまの意思決定プロセスのさらなる改善に貢献できます。Sabre Hospitality社は、いち早くこの新しいAPIを介してExpedia Groupからのデータを、自社が提供するチャネルマネージャーに取り込みました。ご利用の施設の皆さまは貴重なリアルタイムの情報に基づく分析データと推奨アクションプランを入手できます。

 弊社の目標は、テクノロジーの提供を通じてパートナー施設の皆さまの業務改善と競争力強化を促進することです。弊社は、長期的視野をもって先進的なソリューションをご提供することにより、すべてのパートナー施設の皆さまの復興とビジネスの成功を継続的にサポートしてまいります。

(エクスペディア・ホールディングス代表取締役 マイケル・ダイクス)

 
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