宿泊業、外国人技能実習2号の対象に


旅館・ホテルで通算3年の実習可能 受け入れの選択肢広がる

 外国人技能実習法に基づく技能実習制度で、通算3年の在留が可能となる「技能実習2号」の対象職種に宿泊業(接客・衛生管理作業)が追加された。2月25日に厚生労働省令・法務省令の改正が施行された。宿泊業4団体が設立した宿泊業技能試験センターが実施する技能実習評価試験に合格した実習生は、技能実習2号に進むことができ、旅館・ホテルで通算3年働くことが可能になる。

 技能実習制度は、国際貢献のために開発途上国などの外国人を一定期間雇用して日本の技能を移転する制度。宿泊業は、在留期間が1年の「技能実習1号」での受け入れは可能だったが、在留期間が1号を含めて通算3年の「技能実習2号」への移行はこれまで対象職種ではなかった。

 日本旅館協会、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)、日本ホテル協会、全日本シティホテル連盟(JCHA)、宿泊業技能試験センターが技能実習評価試験の策定などに取り組み、技能実習2号の移行対象職種入りが認められた。

 旅館業法に基づく旅館・ホテル営業が対象。業務内容は、フロントや接客、料理・飲料提供などの「必須業務」が2分の1以上、客室の清掃・整備などの「関連業務」が2分の1以下、食器洗浄などの「周辺業務」が3分の1以下。関連・周辺業務だけに従事させることやナイトフロントなどの深夜業務への従事は認められない。

 受け入れ事業者と技能実習生は雇用契約を結ぶ。賃金は最低賃金以上、転職は不可。技能実習1号での入国時には試験がないが、入国直後に日本語などの講習を受ける必要がある。技能実習評価試験は、技能実習2号に移行する際に合格が要件となる。

 旅館・ホテルは、各国の送り出し機関と提携する「監理団体」(国の認可を受けた非営利の事業協同組合など)に受け入れ希望を申請する。技能実習計画、在留資格の認定を経て実習がスタート。入国、業務開始後も監理団体による実習の指導、監査を受ける。旅館・ホテルには費用負担が発生するが、宿泊業技能試験センターでは、入国時の諸費用100万円前後、監理団体などの月額管理費2~5万円などを目安に掲げている。

 産業界の人手不足の解消を目的に2019年4月にスタートした在留資格「特定技能」とは、制度の目的や仕組みが異なる。ただ、技能実習2号の修了後、試験なしで特定技能1号(在留期間・最長5年)に移行できる。旅館・ホテルにとっては、外国人雇用の方針によって制度を選択し、活用することが期待される。

 
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