JNTOインバウンドフォーラム、東アジアの市場動向解説


JNTOフォーラム

 日本政府観光局(JNTO)が6日に東京都内で開いたインバウンド旅行振興フォーラムでは、海外事務所長らが重点20市場の旅行動向を解説した。中国、韓国、台湾、香港の東アジア4市場は、訪日外国人の旅行者数、旅行消費額ともに全体の約7割を占める。フォーラムの中から東アジア4市場の動向を紹介する。

◇中国

 中国からの2017年の訪日旅行者数は、前年比15.4%増の735万6千人で過去最高を記録した。国・地域別の最多で、全体の25.6%を占めた。18年上半期(1~6月)は、前年同期比23.6%増の405万6千人と好調だった。

 中国からの訪日観光客は近年、個人観光の数次ビザ(査証)の発給増加などで、リピーターの割合、人数が急増。リピーター率は、15年には27.5%だったが、17年には39.8%に上昇。リピーターの人数は14年には約50万人だが、17年には250万人を超えたと推計される。
中国からの訪日観光客は、家族旅行者層と20~30代若年旅行者層でほとんどを占めている。訪問先は初回はゴールデンルートだが、再訪するごとに地方に拡散することが分かっている。

 訪日旅行の関心事は、ショッピング、日本食、自然・景勝地、繁華街、温泉が上位だが、次回の訪日でしたいことには、四季の体感、スキー・スノーボード、自然・農漁村体験、歴史・文化体験などが上昇する。

 「特定のテーマを掘り下げた観光は、中国で『深度游』と呼ばれ、地方が受け皿になり得る」(服部真樹所長)。中国では、2022年北京冬季五輪に向けてスキー市場も急成長中で、日本のスノーリゾートへの注目も高い。

 地方誘客の課題には、体験プログラムなどのガイドやインストラクターの中国人対応の強化、誘客効果が高い国内地方空港への直行便の開設、中国で人気のデジタルメディアを活用した情報発信などが挙げられている。

◇韓国

 韓国の訪日旅行者数は、17年が前年比40.3%増の714万人と大幅に増加した。18年は、大阪府北部地震の影響で7月がマイナスだが、1~7月累計は前年同期比14.5%増の462万4千人となっている。

 韓国経済は青年失業率の悪化など不透明感はあるものの、海外旅行者数は増加傾向にある。訪日旅行先は、九州、関西、関東が中心だが、LCCの路線拡充などで地方の伸びしろも大きいとみられている。

 JNTOソウル事務所によると、韓国の消費トレンドは「『自分』『今』を満足させる消費」という。「自分の時間、心を大切にする韓国の消費トレンドを意識した訪日旅行の提案が求められる」(山田敬也所長)。

◇台湾

 台湾の訪日旅行者数は、17年が前年比9.5%増の456万4千人。18年1~7月は前年同期比8.5%増の296万6千人。旅行需要は安定しているが、台湾の年金改革や11月の統一地方選挙が、海外旅行にマイナスとなる可能性がある。

 FIT化、リピーター化が進む中で新たな需要として、アウトドア、音楽イベント、スポーツ、クルーズ、祭り、観光列車などのテーマ旅行が注目。FIT化の一方で、「消費者と旅行会社の接点が残っている市場」(日本台湾交流協会台北事務所の中杉元経済部主任)で、旅行会社はテーマ旅行やチャーター便利用のツアーに注力している。

◇香港

 香港の訪日旅行者数は、17年が前年比21.3%増の223万2千人。近年、LCCや宿泊予約サイトの活用で旅行コストが下がり、訪日頻度が増加したことなどで、訪日旅行者数は13年に比べると約3倍に増えている。18年1~7月は1.5%増の133万7千人で、「災害の影響はあるが、底堅い」(香港事務所の薬丸裕所長)。

 香港の訪日旅行者のうち訪日経験回数10回以上のリピーターは2割を超える。「年に複数回リピートする旅行者という前提で情報発信、仕掛けづくりを。日本を生涯楽しみ続けられる旅行先として『生涯デスティネーション』にすることが大事だ」(薬丸所長)。


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