エイチ・アイ・エス(HIS、澤田秀夫代表取締役会長兼社長)は6月11日、2021年10月期中間(20年11月1日~21年4月30日)決算を発表した。連結業績は、売上高が前年同期比80.4%減の676億5100万円、営業損失が310億8300万円(前年同期は14億6900万円の赤字)、経常損失が307億1300万円(同7億6千万円)、中間純損失が232億600万円(同34億5900万円)となった。新型コロナの影響を受け、減収減益となった。今後は、北海道、九州、沖縄を中心とした国内旅行に注力するほか、社員最大1500人のグループ外出向や営業拠点の統廃合などコスト削減、新規事業領域として旅館の再生事業に取り組む。澤田会長は「アフターコロナでも7割の陣容でピークの売り上げを確保する」と話す。
旅行事業は、売上高が同90.3%減の290億円、営業損失が180億円(163億円の減益)。各国で渡航制限などの措置が継続したことで、主力の海外旅行などが甚大な影響を受けた。11、12月はGo Toキャンペーン効果で増収となるも、以後の緊急事態宣言の発令で、1月以降は再び需要が減速した。
テーマパーク事業は、売上高が同13.2%減の85億円、営業損失が6億円(1.4億円の減益)。ハウステンボスでは純利益ベースで黒字化も、長崎県全域での特別警戒警報の発令など、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた。
ホテル事業は、売上高が同51.5%減の31億円、営業損失が26億円(21億円の減益)。国内ホテルでは、新型コロナウイルス感染再拡大の影響を受けたことに加え、海外のホテルでは、引き続き海外旅行が困難な状況が継続したことで宿泊者数が減少した。
九州産交グループは、売上高が同29.9%減の86億円、営業損失が9億円(11億円の減益)。熊本県独自の緊急事態宣言が発令され、再び基幹産業を中心に新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた。
エネルギー事業は、売上高が同25.7%増の176億600万円、営業損失は77億5400万円(86億円の減益)。12月下旬以降の寒波到来に伴う電力需要の増加や、燃料在庫の減少に伴うLNG火力を中心とした供給量の低下などにより、需要がひっ迫。35億円の増収となったが、卸売市場の高騰が1月下旬まで続いたことで減益となった。
特別利益として新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例措置の適用を受けた雇用調整助成金の支給申請の実施などによる助成金収入として個別決算で47億6400万円、連結決算で77億8400万円、特別損失として営業施設などの臨時休業による損失として個別決算で18億3600万円、連結決算で19億6100万円を計上している。
21年10月期連結業績予想は、新型コロナの影響で未定としている。
旅館の再生事業等旅行領域外を強化
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