全日本空輸(ANA)は16日に開いた臨時取締役会で、山元峯生社長の後任に伊東信一郎代表取締役副社長(58)を昇格させる人事を決めた。来年から始まる次期経営計画を見据え、トップを交代するもの。4月1日付けで就任する。同日付で山元社長は代表取締役副会長に就き、社長を補佐する。
16日開いた会見で伊東副社長は、「経営環境が悪化する中、責任ある仕事を任され、身の引き締まる思いだ」と述べたほか、国際線を将来の成長の柱と位置づける考えを明らかにした。また2010年の羽田、成田両空港の発着枠拡大を「首都圏における最後のチャンス」と表現し、「2010年は全社挙げて『討って出る』覚悟だ」と国際線便数の拡大への意欲を示した。
地方路線の見直しが進む国内線については、「営業を担当している身としては、路線の廃止というのはあまり好きではない」と話し、路線見直しを常に行いつつも、地元行政などの協力や働きかけに前向きにこたえ、できる限り路線の維持、拡大をしたいとの見解を示した。
山元社長は伊東副社長を「私心がなく、肝が据わっており、心が広い人物」と評し、後任に選んだ理由として語った。
大橋洋治代表取締役会長は日本経団連副会長を務めていることから、4月以降は代表権のない会長として続投する。
伊東信一郎氏(いとう・しんいちろう)
1974年九州大学経済学部卒、同年全日本空輸入社。99年社長室事業計画部長、03年6月取締役営業推進本部副本部長兼マーケティング部長。06年専務取締役営業推進本部長を経て、07年代表取締役副社長営業推進本部長。宮崎県出身。
次期社長に決まった伊東副社長(右)と山元社長(左)