日本政府観光局(JNTO)が18日発表した8月の訪日外客数は90万6700人に達し、8月としては過去最高を記録したことが分かった。香港や台湾に加え、東南アジアからの訪日客の増加が目立ち、特にタイは、短期滞在査証(ビザ)免除の効果が顕著に表れ、前年同月比で2倍以上となる2万3900人を記録した。
伸び率は前年同月比で17.1%増を記録したが、増加幅は鈍化した。
観光庁の久保成人長官は「円高是正による割安感が広がり、特に東南アジアが順調に伸びてきている」と述べた。
東南アジアでは、シンガポールやマレーシア、ベトナムも同4割以上の伸び。訪日客数はタイで17カ月連続、ベトナムで20カ月連続、各月の最高値を記録している。
東南アジア以外では、香港が同61.9%増の7万1800人、台湾が同51.5%増の19万4900人だった。
一方、韓国は同6.9%増の21万5600人と、前年同月よりは伸びたものの、これまで同30〜40%前後の高い伸びが続いていた増加幅が大きく縮小した。中国は同14.6%減の16万2500人にとどまり、沖縄県の尖閣諸島を巡る領土問題の悪影響が続いていることが裏付けられたが、今年最も多い訪日客数になり、回復の兆しが見えた。
久保長官は、最大の訪日客数になっている韓国で、東京電力福島第1原発の汚染水問題への懸念が広がっていることに対し、JNTOソウル事務所での日本製水産物の安全情報の発信や韓国政府を通じて現地旅行会社への説明を行っていく方針を示した。
さらに2020年の東京五輪開催に向け、訪日客の受け入れ態勢を整備するとともに、東京以外への経済効果波及策の検討を進める考えを示した。