今年8月の訪日外客数は、前年同月比22.4%増の111万人になった。日本政府観光局(JNTO)が17日に推計値として発表した。8月として過去最高を記録。中国が7月に続き最も訪日客数の多い市場となったほか、客船事故の影響などを受けてきた韓国が2カ月連続で前年同月の実績を上回った。マレーシア、インドネシアは、イスラム教のラマダン(断食)明けの休暇時期の変動でマイナスだった。
8月として過去最高を記録したのは、中国、台湾、香港、タイ、ベトナム、インド、米国、カナダ、フランス、ドイツ。
中国は前年同月比56.5%増の25万3900人。大型クルーズ船(14便)の寄港、北海道、沖縄、新潟などへのチャーター便の就航などがプラス要因。1〜8月累計の訪日客数は前年同期比84.0%増の154万2400人となり、これまでの年間客数の最高値142万5100人(2012年)を上回った。
韓国は前年同月比16.7%増の25万1400人。6カ月ぶりに前年同月の実績を上回った7月の2.7%増に続きプラス。JNTOによると、船舶を利用した旅行を避ける傾向は依然あるものの、航空会社や旅行会社と共同で実施したビジットジャパン事業の広告展開などで夏休みの訪日旅行需要を喚起した。
台湾は前年同月比17.9%増の22万9900人、香港は同4.4%増の7万4900人。ともに昨年2月以降、19カ月連続で各月の過去最高を記録している。タイは同23.3%増の2万9400人で、LCC(格安航空会社)の就航などで個人旅行が増加している。
マレーシアは同9.6%減の9900人、インドネシアは同47.6%減の8500人。旅行シーズンのラマダン明けの休暇が昨年は8月だったが、今年は7月だったため、前年同月の実績を下回った。7、8月の合計では両市場ともにプラス。
シンガポールは同6.0%減の8300人。8月としては昨年に続く過去2番目の実績だが、マイナスになった。JNTOでは「宿泊施設、バスの料金上昇や連休の日並びが悪かったことなどが減少要因」と指摘している。
欧米豪の主要市場はすべて前年同月の実績を上回った。米国が同9.5%増の6万3900人、フランスが同16.0%増の1万7500人、豪州が同24.1%増の1万3100人など。
訪日外客数全体の1〜8月累計は863万7800人で、前年同期と比べて25.8%増になった。
JNTOでは、9月の訪日旅行市場について堅調に推移すると予想。チャーター便の就航や大型クルーズ船の寄港、東南アジアでの訪日旅行の人気などをプラス要因に挙げている。
10月1〜7日を中心とする中国の国慶節の旅行シーズンに対しても、訪日旅行需要を取り込むため、現地の旅行会社38社と共同広告を8月19日から9月20日にかけて展開した。