【専門紙誌5社共同企画】各紙誌の視点で見る「外国人材」による地方創生 農村ニュース 人材不足で諦めない 気持ちよく働ける職場づくりを


白須室長

 農業における担い手の減少傾向は著しいものがある。先ごろ公表された農林業センサス2025の概数値によると、基幹的農業従事者は5年間で4分の3にまで減少している。こうした中にあって、わが国の食料生産を維持し、食料安全保障を確保していくためには、より生産性を上げ、少ない人数でより多くの面積で生産できるようにすることが重要となる。ただそれだけでは不十分だ。農業においては、どれだけ規模拡大をしようと全く人手が不要ということはない。加えて、地域や作物によってはどうしても人手が必要なものもある。

 そうした中で新たな担い手として期待が集まるのが外国人材だ。農業分野での就労は技能実習生と特定技能外国人の2種類に分けられ、統計がまとまっている令和6年12月末時点の数値で、技能実習生は3万1635人、特定技能外国人は2万9331人、合計6万966人がわが国農業を支えていることになる。直近の数値をみても、技能実習生、特定技能外国人とも着実に増加傾向で、特に特定技能外国人については、令和7年6月末時点の数値もまとまっているが、3万5454人と前年から約20%の増加となっている。

 技能実習制度と特定技能制度のもと、農業分野における外国人活用が進められてきたが、令和9年度から、その仕組みが大きく変わる。

 技能実習制度から新たに「育成就労制度」へと移行する。育成就労制度では、目的が人材育成・確保(中長期的な就労を目指す)となるほか、在留期間は3年間、日本語能力試験の受験が必要―など、さまざまな点が変わる。

 こうした情勢の変化がある中ではあるが、外国人材の定着のために何が必要なのか。農林水産省で農業分野の外国人材に関する施策を担当している経営局就農・女性課女性活躍推進室の白須万理・室長は、私見ではあるが、と前置きしつつ「一つにはキャリアの考え方やその会社における『守ってほしいこと』を明確に示すことが重要」と述べる。

 「例えば仕事面でいえば目の前の作業だけでなく将来の見通し、会社全体の目標共有、労働安全衛生など、生活面では騒音対策やゴミの出し方など、常識が違う多種多様な人がいる中で共通認識を示すことで、安心感を醸成していくことが重要。このことは、トラブルを減らすことにもつながっているように思う」

 外国人材がより働きやすい環境の整備に向け、農水省では、多言語に対応したメール、LINEチャットによる相談窓口の設置や農業の基礎的内容を学ぶことができる多言語対応学習用e―ラーニングシステムの作成・公開などを実施。また、現地教育機関と連携した現地説明会・相談会の実施など、外国人材の受け入れ拡大、定着に向けた施策を展開している。

 白須室長は「今、地方は急激に人が減少している。そうした地域を支えるために産業は不可欠なものであり、特に農林水産業は地域固有の資源を生かした発展を見込める重要な存在だ。これらの産業を支えようという気概がある方々が、人材不足で何かを諦めるということがないようにしたい。解決策としては、まずは日本人の雇用が考えられるが、それが難しい際の解決策の一つとして『外国人材』があると思っている。地方においても外国人材が活躍できる姿を見せていくことがわれわれの責務だと感じている。制度の骨格は出入国在留管理庁や厚生労働省において整備いただいているが、それだけではどうしても現場が回らない、気持ちよく働けないというようなことはあるかもしれない。そうした時に、少しでも助けとなるような取り組みを進めていければ」と話す。


白須室長

 
 
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