「建物の老朽化」が75%でトップ 宿泊施設の課題2026、JARCが調査結果を発表


 一般社団法人宿泊施設関連協会(JARC)は4月7日、「宿泊施設が抱える課題2026」アンケート調査の結果を発表した。

 全体トップは「建物の老朽化」で75%。「人手不足」(66%)、「生産性の向上(業務効率化)」(63%)が続いた。

老朽化が昨年比11ポイント増、200室以下の全施設で1位

 調査は宿泊施設の経営者・役員、管理職、一般職(正社員)を対象に実施。有効回答数は125件。業種は旅館(59%)、フルサービスホテル(地方)(21%)、宿泊特化型ホテル(地方)(9%)などで構成される。

 最大の特徴は「建物の老朽化」の急伸だ。昨年比11ポイント増となり、客室規模200室以下のすべての施設において1位を記録した。

業種別では旅館・地方ホテルに明確な傾向

 業種別でみると、旅館(N=74)では「建物の老朽化」が81%でトップ。「人手不足」(69%)、「生産性の向上(業務効率化)」(65%)、「従業員教育」(49%)、「労働環境改善」(47%)が上位5位に並んだ。

 フルサービスホテル(地方)(N=26)でも「建物の老朽化」が81%で首位。「人手不足」(69%)、「生産性の向上(業務効率化)」(69%)、「労働環境改善」(46%)、「従業員教育」(42%)が続く。

 旅館とフルサービスホテル(地方)については、JARCが「人手不足より建物の老朽化が上位を占めている」と明記している。

 宿泊特化型ホテル(地方)(N=11)では「人手不足」が64%でトップ。「建物の老朽化」(45%)、「従業員教育」(45%)、「顧客満足度の向上」(45%)、「他社との差別化」(45%)が同率で並ぶ。

 フルサービスホテル(都市)(N=6)は「生産性の向上(業務効率化)」が100%。「建物の老朽化」(83%)、「従業員教育」(83%)、「人手不足」(67%)、「DX推進」(67%)が上位5位に入った。

 宿泊特化型ホテル(都市)(N=5)は「人手不足」が60%でトップ。「従業員教育」(60%)、「建物の老朽化」(40%)、「生産性の向上(業務効率化)」(40%)、「ユニバーサルフード」(40%)が続く。

 民宿・貸別荘・簡易宿所(N=3)では「建物の老朽化」「生産性の向上(業務効率化)」「事業継承」がいずれも33%で並んだ。

職位別でも「老朽化」「人手不足」「生産性」が上位を独占

 経営者・役員(N=76)の上位5位は、「建物の老朽化」(79%)、「生産性の向上(業務効率化)」(66%)、「人手不足」(61%)、「労働環境改善」(45%)、「従業員教育」(42%)。

 管理職(N=43)では「人手不足」(77%)が1位となり、「建物の老朽化」(70%)、「従業員教育」(60%)、「生産性の向上(業務効率化)」(58%)、「顧客満足度の向上」(44%)が続く。

 一般職(正社員)(N=6)では「建物の老朽化」「人手不足」「生産性の向上(業務効率化)」が67%で並び、「顧客満足度の向上」(50%)、「多言語対応」(50%)が4・5位に入った。

規模別では大型施設ほど「DX推進」が浮上

 客室規模別の傾向も明確だ。

 20室未満(N=30)は「建物の老朽化」(80%)、「人手不足」(60%)、「生産性の向上(業務効率化)」(53%)、「従業員教育」(40%)、「顧客満足度の向上」(27%)の順。

 20室以上50室未満(N=37)は「建物の老朽化」(76%)、「人手不足」(70%)、「生産性の向上(業務効率化)」(62%)、「労働環境改善」(57%)、「従業員教育」(51%)が上位5位。

 50室以上100室未満(N=27)は「建物の老朽化」(78%)、「生産性の向上(業務効率化)」(70%)、「人手不足」(56%)、「顧客満足度の向上」(41%)、「従業員教育」(37%)となった。

 100室以上200室未満(N=19)では「建物の老朽化」と「人手不足」がともに74%で並び、「生産性の向上(業務効率化)」(68%)、「DX推進」(58%)、「従業員教育」(53%)が続く。

 200室以上(N=12)では「人手不足」(83%)が1位に浮上。「従業員教育」(75%)、「生産性の向上(業務効率化)」(67%)、「建物の老朽化」(58%)、「DX推進」(50%)が上位5位に入った。

 JARCは「DX推進は100室以上200室未満、200室以上において上位5課題に挙げられた」と指摘している。

「顧客満足度の向上」が2ランク上昇、昨年7位から5位へ

 全体の順位変動では、「顧客満足度の向上」が昨年度7位から本年度5位(37%)へ上昇したことも注目点だ。

 全体集計(N=125、複数回答)の上位から主な数値を示す。

  • 建物の老朽化:75%

  • 人手不足:66%

  • 生産性の向上(業務効率化):63%

  • 従業員教育:48%

  • 顧客満足度の向上:37%

  • 労働環境改善:34%

  • DX推進:30%

  • 賃金アップ:30%

  • 多言語対応:27%

  • 災害対策:27%

  • バリアフリー対策:26%

  • 他社との差別化:26%

  • 資金繰り:26%

  • 訪日外国人のマナー問題:18%

  • ユニバーサルフード(ハラール・ヴィーガンなど):17%

  • アレルギー対応:17%

  • 事業継承:16%

  • SDGsの取り組み:15%

  • Wi-Fi環境の整備:13%

  • PMS導入・活用:8%

  • キャッシュレス決済:4%

調査の背景

 JARCは調査目的について次のように説明している。「2025年は訪日外客数、旅行消費額ともに2024年に引き続き過去最高を記録し、本年も4500万人規模の訪日外客数の増加が見込まれると予想されています。しかしながら、観光の中枢を担う宿泊業界においては、依然として多くの課題が山積しているのが現状です」。

 その上で「当協会は、それぞれの施設が抱える課題解決に微力ながら貢献できるよう、宿泊施設において何が課題になっているかアンケート調査を行いました」と説明している。

 JARCは2017年11月に設立。東京都千代田区平河町に所在し、「安全・安心・清潔・エコ・コンビニエンスで持続可能な地域観光を目指します」を掲げ活動している。

 
 
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