【VOICE】観光の現場を支える外国人材 株式会社シンシアインターナショナル代表取締役 行政書士 中小企業診断士 鶴野 祐二氏


インバウンド対応は内なる国際化から

 2025年の訪日客数は過去最高の約4268万人に達し、初めて4千万人を突破した。オーバーツーリズムの懸念はあるものの、インバウンド需要は宿泊業界にとって依然として重要な成長の生命線だ。現場を支える外国人材も年々増加しており、恩恵を受ける企業ほどその採用に前向きに取り組んでいる。

 一方で、日本人に比べ転職への抵抗感が少ないのも事実である。生涯同じ会社に勤める意識は薄く、仕事を覚えた頃に離職されたり、社内コミュニケーションの壁から外国人採用自体を見直そうとする現場の悩みも耳にする。

 日頃から多くのホテルや旅館の皆さまと向き合い、人材紹介や在留資格手続き、現場での定着を支援する中で、外国人材と良好な信頼関係を築き、成果を上げている施設には共通する姿勢があると感じる。そうした取引先の皆さまの実践から学んだ、受け入れを成功へ導く「三つのポイント」を共有したい。

 一つ目は、「在留資格の適切な理解と最新動向の把握」だ。特定技能の創設で受け入れの裾野は広がったが、フロント等を担う「技術・人文知識・国際業務」の在留資格は審査が厳格化している。また、宿泊現場で調理等のニーズが高い特定技能「外食業」は上限の5万人に達し一時受け入れ停止となるなど、動向への注視が欠かせない。その他、留学生の資格外活動やインターンシップの受け入れなど選択肢が多いからこそ、法令順守の徹底が外国人の安心につながる。

 二つ目は、「多様性を尊重し、強みに目を向ける姿勢」である。文化が異なる地から来た彼らが日本の仕事文化になじむには時間を要する。しかし、定着に成功している施設では、文化の違いを受け止め、真面目で貢献意欲の高い彼らの熱意に着目し、現場の上司が先入観を持たずに温かい対話を重ねている。

 三つ目は、「企業理念やルールの明確な言語化」だ。社是やクレド、やってほしいことや避けるべきこと、求める自発性をクリアに伝えることである。目指す方向が明確になれば、外国人材は迷いなく、力を発揮でき、職務上のストレス軽減や働きやすさに直結する。

 インバウンド対応とは、単なる多言語化ではなく、組織そのものを磨き上げる「内なる国際化」にほかならない。労使でWIN―WINの関係を築き、政府が目指す秩序ある共生社会の実現に向けて最前線を走る宿泊業の皆さまの挑戦を、専門家としてこれからも全力で応援していきたい。


鶴野氏

 
 

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