高山氏
地域の魅力伝える「本気の遊び」時間
地域の魅力を伝えるためには、訪れた人がその場所と人と濃く関わる時間が大切です。私は濃く関わるための方法の一つが「本気で遊ぶ」体験だと考えており、「日本かくれんぼ協会」として自治体や地元企業と連携し、大人も子どもも楽しめる「かくれんぼイベント」を企画しています。
「かくれんぼ」と聞くと子どもの遊びを思い浮かべる方が多いでしょう。しかし、参加すると大人の方が次第に本気になり、隠れ場所を探すだけでも周囲を見る目が変わります。木の陰や地形の起伏を確かめ、相手の動きを読み、仲間と作戦を練る。その土地の環境と地域の人の人柄が遊びの面白さを左右します。
ルールがシンプルであるからこそ、子どもから大人、地域国籍性別関係なく、初対面の人同士でも一緒に遊べます。共通の敵である鬼から身を潜め、作戦を共有し、アドバイスし合ううちに、会話が進み地域の方と訪れた方みんなが「遊び仲間」となります。
和歌山県すさみ町では、町と連携し海水浴場や廃校を舞台にしたかくれんぼイベントを7回企画してきました。観光資源として親しまれる海辺も、遊びの舞台として捉えれば、体の動かし方や楽しみ方が変わります。もう使われていない学校も、地元の人の思い出話があれば、初来訪者にとってもストーリーが生まれます。地域にある場所の遊び方を変えることで訪れる理由をつくることができます。
かくれんぼイベントは、訪れた人の発信内容を想像して企画します。「参加した」「訪れた」という事実ではなく、「鬼に緊張した」「バレずに楽しかった」という気持ちを発信いただけるような演出を心がけています。発信を受け取った人が、その地域で得られる感情をイメージし、それをめがけて訪れるようになることも目指しています。
企画にあたっては、地域の方にも遊びのつくり手として関わっていただきたいと考えています。地元ならではの隠れ場所や普段は気づかない場所の魅力を教えていただくことで、その地域だけの体験が生まれます。訪れた人の新鮮な驚きが、住む人にとっても地域の良さを再発見し、誇りを感じる機会になることを目指しています。
旅先で一緒に遊んだ人や夢中になった時間は、その地域を思い出すきっかけになります。「あの人にまた会いたい」「次は家族と参加したい」。そんな気持ちにつながる体験を地域の皆さまと考えていきたい。かくれんぼを通じて、訪れる人と迎える人が一緒に楽しめる観光の可能性を広げていきます。

高山氏




