「観光教育出前授業」への挑戦
千葉県観光物産協会では現在、千葉県から観光プロモーション事業を包括受託し、各種事業を展開しています。当協会は「ツーリズムに携わる人々を繋(つな)ぐプラットフォームとして観光・物産の価値を高める」ことを経営理念に掲げ、国内外からの誘客や県産品普及を図るべく約35名のスタッフが一丸となって取り組んでいます。
事業を推し進める中で、県内地域ごとに観光に対する認識や意識の格差があることを実感しています。千葉県は温暖な気候に恵まれ、首都圏という一大市場に隣接する地理的優位性があります。しかし、この恵まれた環境ゆえにかえって地域ごとの課題意識に差が生じている側面もあります。
人口減少が進む日本において、交流人口や関係人口を増やす手段である観光は、国の戦略産業にも位置づけられています。現場では宿泊業界を中心に深刻な人手不足に直面していますが、単なる労働力の確保にとどまらず、観光事業を経営しけん引する「未来の担い手」の育成・確保が極めて重要です。給与水準や待遇の改善はもちろん不可欠ですが、それ以前に観光業界全体の魅力向上に資する取り組みを社会全体で推進していく必要があるのではないでしょうか。魅力ある産業が地域にあれば、少子化の中でも若者が地元にとどまり、あるいはUターンして地域を支える持続可能な社会が実現します。観光がその核として定着することが求められています。これからの地域経済を維持していくためには、観光産業がいかに重要な意義を持つかを関係者だけでなく県民一人一人が理解し、意識を高めることが根本的に必要であると痛感しております。
当協会では従来、行政や地域事業者向けに「観光人材育成セミナー」などを開催してきました。しかし、より早い段階―若い世代からの意識付けこそが本質的解決につながると考え、教育の一環として小中学生などを対象とした「観光教育出前授業」を開始いたしました。低学年向けにはゲーム性を取り入れ興味を引くプログラムにするなど、対象のレベルやニーズに応じた内容をスタッフ自らが工夫を凝らしながら実施しています。まだ始まったばかりの取り組みであり、協会スタッフも手探りで学びながらの挑戦ですが、将来の職業選択の中に「観光」が定着し、いずれは故郷の観光事業をけん引する人材が輩出されることを願っています。即効性のある施策ではありませんが、この地道な取り組みが根となり、将来「千葉県で観光産業に従事すること」が人々の誇りとなるよう、今後も一歩一歩進めてまいります。

小林氏




